[映画/ドラマ/映像]THE YOUNG VICTORIA(邦題:ヴィクトリア女王 世紀の愛)


ヴィクトリア女王(1819-1901)が女王として戴冠する前の少女時代から、夫となるアルバート大公との出会い、そして女王として即位してからの時期を扱った、「ヴィクトリア朝の始まり」を描いた華やかな宮廷劇の映画です。主演エミリー・ブラントです。

映画公式『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

大英帝国最盛期の女王と、始まりの物語

私の感想は英語版のものですが、映画は100分程度の映像で、やや駆け足に進んでいきます。王宮が舞台となっているのでケンジントン宮殿やバッキンガム宮殿を撮影に使っていたようで、豪華そのものです。即位式の様子まで再現しており、王宮の映像作品としては非常に素晴らしいクオリティです。使用人たちもいわゆる宮廷仕様の制服を着用し、馬車もポスティリオン(馬車で引く馬に乗馬する騎手・ジョッキーとは違う)が乗った宮廷馬車で、豪華さが際立っています。

ストーリー自体も、いろいろと構図があって面白いです。若い王女と、「彼女を支配して実権を握ろうとする王女の母Kent公爵夫人、その側近」と、「公爵夫人を嫌うWilliam4世・国王」、「彼女を利用するため一族のAlbert王子を結婚させようと策謀するベルギー国王」、「王女を愛するようになる王子」、そして英国内の政治家たち。

個人的には、名前だけ知っていた女王の世話役「Mistress of the Robe」の公爵夫人が登場していたのがよかったです。そういえば側近の侍女たちが爵位持ちの女性だったのもリアルですね。かなりしっかりと作りこまれている印象です。

王子が非常に良い男ですし、若い女王を頭に据えた国の輝きというか、明るい未来のようなものは確かにあったのかなぁと思う次第です。王女が若くて綺麗ですし、アルバート大公もかっこよすぎます。バッキンガム宮殿で女王が着たドレスを見たことがありますが、小柄な方だったようです。

若干、登場人物が錯綜しているので、利害関係者だけでも事前に歴史を見直していくといいかもしれません。年代は1830年代後半、ぐらいです。(即位1837年前後)

ウィリアム4世:国王。65歳で即位、影が薄いです。
ケント公爵夫人:ヴィクトリア王女/女王の母。国王と仲が悪い。側近と共に女王に影響力行使したい。
ベルギー国王:イギリスに影響力を及ぼしたいので血縁アルバート大公を派遣。
アルバート:叔父の命令から女王に出会うも本気になる。
ヴィクトリア女王:みんなが自分を利用しようとしている中、がんばる。

関連作品

以前には『クイーン・ヴィクトリア 至上の恋』という映画もありました。こちらの感想もそのうち書きます。原題は『Mrs Brown』、夫のアルバート大公亡き後、女王は侍従Brownを寵愛して傍におきましたが、そのことをメディアが「Brown夫人」と揶揄したことに由来します。話も、このBrownと女王の物語です。

幻想を抱かせると申し訳ないので最後に補足しますと、女王役は初老を過ぎた頃のジュディ・デンチで、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』の若々しい女王像とは異なります。日本ではまだDVD化がされていない作品だったと思います。


※リンク先は英国AMAZONで買えるRegion2版です。テレビでは視聴できず、PCで可能です。

また、同じくジュディ・デンチがヴィクトリア女王を演じ、インド人の使用人との交流を描いた『ヴィクトリア女王 最期の秘密』が2019年に出ています。

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