田中亮三先生の最新作で、そのものずばりカントリーハウスを中心にした『英国貴族の暮らし』を描き、生活の場としての屋敷で貴族はどのように過ごしていたのかを解説しています。
前半部には階下の世界、いわゆる家事使用人の仕事や生活を職場の写真・描かれた絵画が掲載されています。ここまで情報が集約された資料は日本ではほとんどありません。さらに自身が訪問して、普通は目にすることが出来ない屋敷の職場の写真もあって楽しめます。
後半はなかなか分かりにくい貴族の社交生活（領地で過ごし、議会のあるシーズンにロンドンに出てきて、また狩猟の季節に領地へ戻る）や、クラブ、三大スポーツ（シューティング・ハンティング・フィッシング）など、知りたいことが紹介されています。
他のシリーズは屋敷を中心にしていましたが、今回は他にも実在の貴族を多面的に紹介したり、いくつかの貴族の屋敷に絞ってその家の歴史を扱うなど、より具体的な話となっていて、貴族と使用人の世界を「写真」で理解し、楽しむには最適の資料です。