[同人誌]ヴィクトリア朝の暮らし 6巻 使用人として、生きて


解説・補足

コミックス『エマ』はカントリーハウスに舞台を移すことによってメイドの描写が輝きを増し、『アンダーザローズ』も「カントリーハウス」無しでは物語が成立しません。そうした魅力的な舞台であるカントリーハウス。

百年前のメイドさんはそこでどんな仕事をしていたか?

既刊で十種類以上のメイドさんの仕事内容を紹介し、その姿を描きましたが、彼女たちがどういう境遇で働いていたのか、どういう人間関係の中で働いていたのか、その解説を行っているのが今回の6巻です。

現代人の多くは何かしら仕事をして生きています。使用人として生きたメイドさん、メイドさんとはすなわち職業、働くことと切り離せない、働いてこそ存在するものです。であればこそ、生きる糧を稼ぐ為に日々働く、普通の社会人にとって、百年前のメイドさんは、「先輩」と言えるのではないでしょうか?

「カントリーハウス」。そこはミドルクラスの家庭より現代的な会社に近い要素で満ち溢れていました。

「主人・使用人」「上級使用人・下級使用人」「上司・部下」「男・女」「インドア・アウトドア」「家政・料理」「マネジメント・モチベーションの維持」など、組織があり、大勢の人がいて、現代の会社と似ている要素は十分すぎるほどになります。

「働く」という体験をしている人に、百年前の先輩である「メイド」という存在を感じて欲しい、そして自分自身が働くことをメイドさんに重ね合わせて考えてみる機会になれば、そういう意味では今までの同人誌の中で、最も普遍性が高い内容となりました。

そして今回、ゲスト様を迎えられました。原稿を引き受けてくださったのは、コミティアを中心に活動される作家「のわきねい」様(ノースノマド)です。久我はコミティアにて同人誌を購入しており、ファンでした。今回は自分も嬉しい、そしてこのジャンルでの同人誌を買われる読者の方にもスペシャルなプレゼントとなっていれば、幸いです。

表紙は今回もGENSHIさんにお願いしました。

注釈を入れておくと、「フットマン(従僕)とメイドに扮する、侯爵ジョアンと侯爵令嬢シャハ」という設定で、鏡に向かっている構図です。お願いした絵が、こういう自分の想像を遥かに超える形で返ってくると、嬉しいです。

毎回そうですが、巻数でシリーズを揃えると言うより、自分の関心のあるジャンルを扱っている巻を選ぶことをオススメします。

短編小説は2本。いずれも連載ものではなく、毎回読みきりで作っています。

尚、今回はデータ入稿メインになるので印刷所を変え、若干、ページに対しての値段が今までと変わります。その分、手貼り入稿原稿ゆえに起こっていた事態も無くなり、同人誌としての精度は上がっているはずです。

同人誌の情報

発行:2005年12月(絶版)
サイズ/ページ数:A5/68ぺージ
頒価:500円
オフセット印刷

目次

『ヴィクトリア朝の暮らし』第六巻
~使用人として、生きて~
■目次………………………………………………  四
■はじめに…………………………………………  五
■注意事項…………………………………………  六
■第九章 使用人として、生きて
カントリーハウスと使用人の世界………  八
・カントリーハウスの魅力
・大勢の使用人を必要とした理由
・職場としてのカントリーハウス
・階下の人間模様
■幕間の章  ヴィクトリアンメイドの世界… 三九
・ゲスト「のわき ねい」様によるイラスト
■第十章 ヴィクトリア朝の暮らし短編集
執事の肖像………………………………… 四四
ただ彼女の面影を………………………… 四九
■小説あとがき…………………………………… 六〇
■参考文献集……………………………………… 六一
■イラスト解説…………………………………… 六四
■終わりに………………………………………… 六五