アマゾンのプライム会員が無料で見られるプライムビデオに、意外と英国ドラマが追加されています。『ミス・マープル』や『劇場版ダウントン・アビー』や、コリン・ファース出演の『高慢と偏見』などです。新作や既存作品の追加も早くなっている感じですので、しばらく追いかけてみようかと、まず今の分をまとめてみました。新作は適宜チェックして、追加していこうと思います(急に配信対象除外もあり得ます)。
ここで対象とする「英国ドラマ」は、基本的に私が好きな時代である19-20世紀半ばぐらいまでです。
目次
・ヴィクトリア朝刑事作品
・実在人物モデル
・英国ミステリ作品
・ジェーン・オースティン作品
・ディケンズ作品
・上記以外の作品
数が意外と多いので、「私が気になるものを」思いつく限り書きます。
ヴィクトリア朝刑事作品
リッパー・ストリート(2011)
19世紀末を舞台とした、ヴィクトリア朝ロンドンの刑事作品です。「切り裂きジャック」が出現した後の設定で、相当に作り込まれたロンドンの町並みが良いです。あと、刑事側も一癖も二癖もある形で、ヴィクトリア朝(ダークな方)が好きな方におすすめです。
ウィッチャーの事件簿(2010)
実在した事件とその解決を行う、スコットランド・ヤード「最初の刑事」のひとり、ウィッチャーを主人公としたノンフィクションの映像化です。非常にリアルです。全4話のうち、1話のみが原作準拠で、2話目以降はフィクションです。「洗練されていない」感じが、19世紀半ばの雰囲気を伝えるものです。
感想
実在人物モデル
ヴィクトリア女王 最期の秘密(2017)
英国ヴィクトリア朝の名前の由来となる「ヴィクトリア女王」が主役です。晩年期の彼女が出会ったインド人が、女王の使用人となって親密な関係となっていく展開です(実話)。
王族モデル作品は以下に集めていましたが、最近更新していないのでアップデートします。
ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出(2015)
こちらはエリザベス二世をモデルにした、いわゆる『ローマの休日』です。戦勝祝いで湧き上がる街へ女王が紛れ込み、軍人の青年と身分を知られないままに出会う、物語です。結構好きです。
マルクス・エンゲルス(2017)
1844年を舞台に、カール・マルクスと、その支持者となった英国の紡績工場の息子フリードリヒ・エンゲルスの青年時代を描いたユニークな作品です。彼らが共産主義者として、当時の労働者たちが抱えた痛みに直面し、そこに向けて立ち上がっていく様子が描かれています。地味ですが、面白いです。
英国ミステリ作品
ミス・マープル(1983)
アガサ・クリスティー原作で、おばあちゃん探偵が大活躍するドラマ『ミス・マープル』です。かつて日本でも放送され、主演のジョアン・ヒクソンはまさに原作イメージのミス・マープルです。舞台は1950年代です。
残念なことに『名探偵ポワロ』は有料なのです……『シャーロック・ホームズの冒険』も。
ブラウン神父
クリスティーと同時代の作家G・K・チェスタトンによる「ブラウン神父」の映像化です。時代は1950年代になっています。神父の教区を舞台にしているため、田園地方がメインで、自転車で駆け回ります。あと、意外と、本当に意外と、綺麗な屋敷が出てきます。これはレギュラーに、貴族の夫人がいることも要因でしょう。
きらめくような推理、という感じでもないのですが、かなりはまります。
新米刑事モース -オックスフォード事件簿
ドラマ『主任警部モース』の若い頃を描く、現在の英国でも大人気のシリーズ作品です。全シリーズ入っているわけではないのですが、モースと上司のサーズデイ警部補が非常に魅力的です。オックスフォードの街並みや、意外と出てくる屋敷、そして1960年代の雰囲気の世界観も良いです。
ジェーン・オースティン作品
高慢と偏見
こちらも1990年代の日本で放送された作品で、ジェーン・オースティン原作『高慢と偏見』の映像化です。映像・舞台・衣装の美しさもさることながら、最も印象的だったのは、ダーシー役を演じた若き日のコリン・ファースの存在感です。このイメージは鮮烈で、コリン・ファースをこの作品で好きになった方も多いと思います。
よく映像化される作品です。
『高慢と偏見』1940年版(会員対象)
『プライドと偏見』2006年版(有料)
説きふせられて
ジェーン・オースティン原作作品の登録が進んでいるようで、こちらの『説きふせられて』(『説得』と訳されることも)も対象になっています。結婚をめぐる物語です(内容だいぶ忘れてしまいました……)
サンディトン(2019)
同じジェーン・オースティン原作のドラマ化ですが、原作は未完成作品とのことで。まだ未視聴です。こうした2019年の最新作が、1年ぐらいですぐに日本でも見られるようになったのは、本当にありがたいことです。
エマ 恋するキューピッド(2009)
ジェーン・オースティンは大体映像化されており、そのうちの一作です。友人の恋を応援しているうちに、自分が恋をしてしまうという話です。原作は読みましたが、2009年版は未視聴です。なお、かつて『エマ』といえばこちらの原作をさしていました。
あのグウィネス・パルトローが『エマ』を演じた映画版もありますが、こちらは残念ながら有料版のみにて。こっちはちょっとコメディー演出が強かったと記憶しています。
いつか晴れた日に(1996)
個人的に『高慢と偏見』と並んで、ジェーン・オースティンの映像化作品では最も好きな作品です。有料なのですが、オススメです。前にNetflixで配信されていましたが、今はないようです。
ディケンズ作品
ディケンジアン(2014)
ディケンズ作品オールスターズというような作品です。『大いなる遺産』『オリヴァー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』などに登場時するキャラクターたちが、それぞれの設定を持ちながら、同じ時代・同じ場所にいるというユニークなものがあります。
そして、これはそれぞれの物語の「前日譚」になるという、良く考えついたと思える発想と構成の作品です。途中まで見ていたのですが、『大いなる遺産』の始まりを知るだけに、ミス・ハヴィシャムの若い頃が辛いので、中断しています。
『大いなる遺産』
ディケンズの『大いなる遺産』は何度も映像化されている作品です。どれを見たのか忘れてしまいました……
2011年版
2020年版
『クリスマス・キャロル』
こちらも名作です。映画も多いです。
1938年版
2009年版:ディズニー・有料
『クリスマス・キャロル』をテーマにディケンズを主人公にした『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』(2018、有料)という作品もあります。
上記以外の軸での作品
クランフォード(2007)
小さな町クランフォードを舞台にした、おばあちゃんたちが大活躍する物語です。エリザベス・ギャスケル原作です。
感想はこちらに。
劇場版 ダウントン・アビー(2019)
英国貴族の屋敷を舞台に、その家族と家事使用人を中心としたドラマ『ダウントン・アビー』。日本でも人気となった世界的ヒット作で、シーズン6まで放送されました。その「続編」としての映画が、こちらです。
とにかく、人間関係もシナリオもスムーズで、カタルシスも大きく、素直に楽しめるファン大喜びの作品です。
本編の方は前は対象だったのですが、今は有料になったようです。
ザ・リトル・ストレンジャー(2019)
私が大好きな作家サラ・ウォーターズの小説『エアーズ家の没落』の映像化作品です。第二次大戦後、収入も途絶え、屋敷を修復する金もなく、荒廃した建物に住み続ける名家と、彼らと知り合いになって屋敷に入り込むようになった医師の物語です。
原作感想はこちらに。
カーニバル・ロウ(2019)
アマゾンオリジナル作品です。英国ではないのですが、オリジナルの世界観でありつつ、文明や技術はヴィクトリア朝的で、スチームパンク感があります。ファンタジーも混ざっていて、いろいろな種族が登場します。最初の方は殺人事件を追いかける刑事の話かと思いつつ、話が広がりすぎて(世界設定と殺人事件)、背景を知るテキスト情報などがないと理解しきれない感じです。