[レポート][美術展]『ターナーから印象派へ 光の中の自然』

本日、ずっと行きたいと思っていた府中市美術館の展示へ行ってきました。

自分が好きなヴィクトリア朝はいろいろとありますが、最近忘れていたのは、「絵画に描かれる、イギリスの田園風景」です。上流階級が描かれる『The Duchess』(邦題『ある公爵夫人の生涯』)や、『THE YOUNG VICTORIA』(邦題:『ヴィクトリア女王 世紀の愛』)のような世界と、少し前にブログで触れた貧困/労働者階級/歴史的な観点でのヴィクトリア朝の照らし方いろいろと、そして、今回見てきた「田園の生活」(『Lark Rise to Candleford』や『Cranford』はどちらかというと、こちら)です。

公園を歩く

来週の日曜日までの開催ということで慌てて出かけました。東府中から徒歩で15分ぐらいでしょうか、公園の中を通っていくのが良いかと思います。今日は風が強く、公園の噴水の水が盛大に周囲へはみでていました。そのおかげか、虹が見えました。梅が咲いていたり、池に鴨がいたり、たまに遠出するのもいいですね。


美術展へ

入場料は800円、美術館の玄関ホールからエスカレーターで2階へ上がります。今回のメインとされるのはターナーです。彼に関心を持ったのはテート・ブリテンで、彼が使った絵の具を見たからです。周辺にある絵画が、この道具から生み出されているのかと、感慨深いものがありました。結構、貴族の家に滞在して絵を描いていた、というような話があったような記憶がありました。

図録を見ると記憶が正しく、カントリーハウスの絵画をいくつか手がけていました。今回見たLeicester準男爵の屋敷Tabley Houseを描いた絵画は、ある意味、自分には新鮮でした。湖っぽいのもありました。


大きな地図で見る

自分が名前を聞いたことがある画家の絵画が多くあり、想定外に楽しめました。冒頭でも書きましたが、とにかく自然描写が多く、美しい田園、農村の暮らし(舗装されていない道を進む馬車や、農村や漁村の子供たち、羊たちの群れ)が十分に堪能できました。単純に資料的な意味でも、今回は久しぶりに図録を買いました。

目当てのジョン・エヴァレット・ミレイの絵画『グレン・バーナム』の前に立つと、一瞬、自分が絵画の中にいるような錯覚を覚えます。手前にいる人の歩いていく道はどこへ通じるのか、左奥の山脈、寂寥たる雰囲気。これは図録によると、ミレイが借りていたバーナム館への道を題材にしたとのことで、そこを離れる寂しさが込められているとのことでした。

他にいくつも気になった絵画はありましたが、ジョージ・クラウセンの『春の朝:ハーヴァーストック・ヒル』は英国の都市の雑踏に立っている感覚を与えました。前面に上流階級の母子(喪服との指摘)、その母が手に持つ花は後方にいる花売りから買っている、右側には道路の路面を整備する労働者たち。

『プラム拾い』や『ジャン、ジャンヌ、ジャネット』のような描写もいいですね。

絵画は、その時代に見えていた(あるいは理想化した)風景を描いていて、ひとつの時代を感じる「窓」です。今回、19世紀のイギリスやヨーロッパ大陸の美しい街並みや緑豊富な世界を、そこで生きる人々を感じられたので、楽しかったです。

期間:2009/11/14~2010/02/14
場所:府中市美術館
美術館URL:http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/turner/index.html