[特集]メイド喫茶ブームとメディア露出

2002~2005年の間で、メイド喫茶ブームが生じるまでのメディアでのメイド喫茶露出状況と、メイド喫茶のメディア掲載履歴を集計したリストで、今時点で分かっていることをメモ書きしたもの(現時点で把握している版)をUPしています。

アキバブームと重なる形でメイド喫茶はブームとなりましたが、どのような取り上げられ方をしていたのかを残しておきます。2006年以降は追いかけるのも大変なので、扱っていません。「萌え・秋葉原」とも重なっていますし、「メイド」がその流れを吸収した印象も受けます。

今のところ、影響力が大きい地上波や新聞記事での掲載状況を、ウェブで情報を確認できるものから探しています。秋葉原におけるメイド喫茶・コスプレ喫茶の歴史がメディア掲載履歴でも詳しく、参考にしています。

テレビの影響がメイド喫茶ブームを拡大したのでしょう。その中では、特にテレビ東京の情報が目立っている印象です。

最近、TAKATORAさんが、秋葉原のメイド・コスプレ喫茶&リフレの店舗数推移を更新され、直近までのメイド喫茶の店舗推移が可視化されました。急激な数字の上昇を示す時期と、下記メディア掲載を重ね合わせてくと、よりブームが見えてくると思います。


2002年

■『Mary’s』のオープン(T-ZONEによる記者会見)

T・ZONE.、秋葉原にコスプレ喫茶を開店(2002/07/11 PCWatch)
T・ZONE.、コスプレ喫茶「Mary’s」発表記者会見を開催(2002/07/17 PCWatch)
T・ZONE、秋葉原にコスプレ喫茶『Mary’s』をオープン(2002/07/17 ASCII.jp)

他、新聞への露出もあり。秋葉原におけるメイド喫茶・コスプレ喫茶の歴史によると、老舗企業「T・ZONE」によるメイド喫茶経営が大きな話題となったとのこと。

『Mary’s』は同年10月「Cafe Mai:lish」(カフェ メイリッシュ)に改名。メイリッシュで働く伊藤りえ様は次のように、当時の空気感を伝えてくれます。

メイリッシュ開店時はコスプレのほうがはるかに人気でした。マスコミもお客様もメイド?何それ?な反応。
http://twitter.com/rihe3229/status/26283984602275840

メイドと言う装いの文化が全然無かった頃なので、90年代に浸透したばかりのコスプレのほうが優ったのです。
http://twitter.com/rihe3229/status/26292317564440577

アンミラ→Piaキャロ売れ→ピアカフェ繁盛→コスカフェをちらほらやるもコンテンツ頼み→停滞→キュアメイドがじわりと開店、安定した癒し系→Tゾネがメアリーズを立ち上げ経済界で話題→メイドカフェが少しづつ増える→ブーム到来。
http://twitter.com/rihe3229/status/26325699207892992


2003年

■『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』刊行

秋葉原の「萌え」の進行や、メディア化を示す出来事。

 

■テレビ東京系『ガイアの夜明け』にメイリッシュ登場

2003/03/09放送(『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』増補版からの情報)
(→尚、2008/04/29の『ガイアの夜明け』では@ほぉ~むカフェ本店が登場)

 

■メイド服の深夜番組露出

テレビ東京系『秋葉な連中』と『秋葉☆りむじん』でメイド服コスプレを確認
アキバ系アイドルの系譜。放送期間未確認。

 

■メモ

2003年刊行のムック『ご奉仕大好き!メイド本―エプロンドレスで尽くします』(日本出版社)では、この時点でのメイド喫茶を掲載。メイド喫茶を扱うムックとしては初期かと。『エマ』の担当編集・大場渉氏や、東京大学メイド研究会も登場していて、資料的価値は高いと思います。


2004年

■2004/09:ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展にて「侘び」「寂び」「萌え」

展示公式サイト:おたく:人格=空間=都市
(→2005/02/27にはNHK『新日曜美術館』で同展示が扱われ、「侘び」「寂び」「萌え」が流れました。OTAKU : persona=space=cityが詳しく、またググると同時期のブログ界隈の反応も見えます)

 

■アド街ック天国(2004/10放送)

6位にランクイン:メイリッシュと、MAID CAFE Lammが登場
(→『出没!アド街ック天国』で秋葉原特集イレギュラーエレクトロン様 via アキバBlog様)

 

■ユーキャン新語流行語大賞候補に「アキバ系」「萌え」「メイドコスプレ」

この時点で、「メイド・コスプレ」はまだメディア上では明確なイメージとして伝わっていない様子。「アキバ系」と「萌え」も2004年ぐらいからメディア露出していき、流行語大賞の候補に入った模様。

気になるノミネート語は「メイド・コスプレ」のほか、「アキバ系」「萌え」。「メイド・コスプレ」が「メイドのコスプレ」のことなのか、「メイドとコスプレ」なのかはよく分からない。

「メイド・コスプレ」が流行語大賞にノミネート ITmediaニュース:2004/11/16より引用

後日談として、残念!「メイド・コスプレ」は落選とITmediaで報道(2004/12/01)

 

■メモ

『メイド喫茶で会いましょう』(2008年・アールズ出版)では、メディア露出はメイド喫茶側とメディア側のニーズが合ったからと指摘しています。

当初、メディアによるメイドカフェの取り扱われ方は、週刊誌や深夜番組などで”アキバの流行のオタクスポット”程度の情報短信的なものにすぎなかった。しかし、メディアにとってはそれまでの気持ち悪いオタク文化とは違い、変な格好ではあるが可愛い女の子を前面に押しだした絵面の映えるキワモノ的な情報は魅力十分だった。

 一方、お店の経営サイドはより広範な層に来店して欲しいがために、またタレント事務所が営業しているようなお店の場合は、タレントの卵であるメイドさんを露出させる機会としてもメディアを受け入れた。

『メイド喫茶で会いましょう』P.31より引用


2005年

■ドラマ『電車男』放送

フジテレビ系列:放送期間:2005/07/07~2005/09/22
wikipedia:電車男 (テレビドラマ)によると、平均視聴率21.0%(関東地区)

登場していたのは「ぴなふぉあ」です(電車男inぴなふぉあ)。ドラマ放送から行列が続いた様子は、Google検索 「電車男 ぴなふぉあ 行列 2005年」などで確認できます。

ぴなメイドな生活 :そしてメイドブームへは、メイドブーム直前のぴなふぉあの様子が描かれていて、貴重な資料だと思います。また、語り手の田川さんは2005年03月09日テレビ朝日『銭形金太郎』に出演されています。

 

■テレビ東京系『テレビチャンピオン』アキバ王選手権

放送:2005/09/15 メイド喫茶が第二ラウンドで登場。
・東京メイド喫茶 tiara
・Royal Milk
・@ほぉ~むcafe
・ひよこ家

テレビ東京「テレビチャンピオン・アキバ王選手権」全体的にまとめより

 

■アド街ック天国(2005/12放送)

6位にランクイン:@home cafeとぴなふぉあが登場
『出没!アド街ック天国』で秋葉原特集(イレギュラーエレクトロン様 via アキバBlog様)

 

■NHK放送:にっぽんの現場「秋葉原・年の瀬の物語・エッジな個がうごめく街」(2005/12/27)

秋葉原を舞台に、『ぴなふぉあ』や竜騎士07さん、それにアキハバラに集う人々を描いた群像劇のようなものでした。

 

■ユーキャン新語流行語大賞ベスト10に「萌え~」入賞

受賞者:完全メイド宣言(秋葉原のメイドさんグループ)とあります。完全メイド宣言は、@ほぉ~むcafeの店員からなるアイドルグループです。CDデビューを行うなど、アキバ系アイドルの系譜に連なるものです。

 

■メモ・秋葉原の観光地化と観光名所としてのメイド喫茶

2005/08/24には「つくばエクスプレス」開業、2005/09/16には「ヨドバシカメラ秋葉原」が開店し、さらに秋葉原駅の改修による電気街口と昭和通口の往来が容易になるなど、それまでよりアクセスしやすくなったこともあり、観光地化が進んでいました。

秋葉原やメイド喫茶を舞台にした創作も登場しており、2005年のドラマ『電車男』、2006年には『アキハバラ@DEEP』のドラマ化なども。秋葉原を描く作品の中でメイド喫茶の登場も増加しています。

さらに観光地化したアキバ。「最近の秋葉は居心地が悪い」ともと、2005/11/25にはアキバBlog様での記事も出ています。同ブログの【関連記事】にあるリンク集」は、当時の空気感を知る意味で、非常に多くの情報が載っています。

ネット上における秋葉原のメディア化(秋葉原系メディアの増加?)もあるかもしれません。


メディア掲載履歴を公開しているメイド喫茶

あまり掲載・更新し続けているところはないです。私が見たところでいちばん整理されていたのは、@ほぉ~むcafeです。他の喫茶との比較が出来ていない状況ですが、テレビ露出が多い印象です。他のお店は見つけたら、更新します。

■@ほぉ~むcafe

以下、@ほぉ~むcafeのメディア掲載履歴から作成したものです。2005年には流行語大賞の授賞式に、同店舗のアイドルグループ「完全メイド宣言」が参加するなど、同時期のメイド喫茶ブームの立役者的存在のひとつと言えます。

(分類は@ほぉ~むcafeのデータに準拠。参考URLは次の通り。2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年