[美術展]写真の起源 英国 2019/03/05—05/06 紹介と感想

既に終了した美術展ですが、記録のために書いておきます。

「写真の起源 英国」/東京都写真美術館

第一章 発明者たち
第二章 ヴィクトリア朝の文化
第三章 英国から世界へ

展示図録:https://topmuseum.jp/upload/3/3110/list.pdf

概要

写真撮影の初期の技術やその当時に撮影された写真、そして広がりを見せていく写真撮影の対象となった英国ヴィクトリア朝の様々な建築物、人々、動物、イベントから、英国の世界進出にあわせて日本を含めた各地で撮影された写真を展示する企画です。

内容は以下の通りです。

日本における写真文化のセンター的役割を担う東京都写真美術館では、毎春、初期写真に焦点を当てる展示を行っており、2019年は「写真の起源 英国」展を開催します。 写真の発明に関する研究は18世紀末から始まり、1839年に最初の技術が発表されることで写真の文化が幕を開けます。英国ではヴィクトリア文化に根ざす貴族社会において、研究が発展し、広く文化として波及します。
本展は、多くの日本未公開作品を手がかりに、これまで日本国内で知られていなかった英国の写真文化の多彩な広がりを展覧します。これは同時に、19世紀の華麗な英国の姿を同時代に制作された写真によって知るとても希有な経験となるでしょう。 幕末~明治の日本人たちが憧れた英国の写真文化とその歴史の広がりをご自身の目でお確かめください。

「写真の起源 英国」/東京都写真美術館

鑑賞後の感想

各章の解説も上記公式サイトで行われているので、個人の感想を。

(2019/04/21に鑑賞 https://twitter.com/kuga_spqr/status/1119801677475803136)

印象に残っているのは、英国で開催された万国博覧会の会場となった「クリスタルパレス」の写真と、そこに展示されていた様々な物を記載した博覧会図録が良かったです。気になった展示物を、公開されているリストでググると、そこそこネット公開されている感じでした。

以下は、Google Booksにアップされていた、展示されていた図録の中身を読めるものです。
Reports by the Juries on the Subjects in the Thirty Classes Into which the Exhibition was Divided: Reports, classes XVII to XXVIII, 第 3 巻

幕末の日本で撮影された、日本の交渉相手達を撮影した写真も、ヴィクトリア&アルバート博物館のコレクションとしてサイトで公開されています。

Japanese Commisioners

全体としては展示数も多く、現在も残っている場所(ロンドンの町並みや、世界遺産バースのロイヤル・クレッセントなど)もあり、現代とつながっているところは月並みですが良かったです。

残っている当時のフィルムからデジタル処理で写真化する展示や、不要な光を浴びる時間を減らすためにスクリーンをかけている写真展示があるなど、あまり普段は見かけない展示方法もありました。ただ、「当時の貴重な写真」がテーマであり、「写真としての美しさ」が主眼ではないと思えるため、やや未消化な部分も残りました。この辺りは、「美術」というよりは「記録」がメインとなるからでしょう。

図録は、以下で販売しています。
http://www.nadiff-online.com/?pid=141117544

なお、「ロンドン」に興味がある方には、”The Queen’s London, A Pictorial And Descriptive Record Of The Streets, Buildings, Parks, And Scenery Of The Great Metropolis In The 59Th Year Of The Reign Of Her Majesty “という写真集が、上記の美術展のコンセプトに近いです。1895年刊行です。



日本で販売している本では、以下がオススメかと。