はじめに
『英国メイドの世界』にまつわるFAQ(Frequently Asked Questions:よく聞かれる質問集)を掲載します。1ページに掲載するテキスト量が多くなりそうな予感がするので、どこかのタイミングでコンテンツを分割するかもしれません。
回答は私が応えられるものに留めています。あまり聞かれないものも、載せています。とりあえず見出しを先に作り、書けるものから埋め始めています。
■更新履歴
2011/01/15 公開開始。
目次
【1.『英国メイドの世界』全体について】
■タイトルからすると、メイドしか扱っていないのですか?
■なぜこのタイトルなのですか?
■同人版って何ですか?
■講談社版と同人版の違いは?
■値段が高いです
■類書との違いは?
■写真や図版やイラストが少ないと思います
■写真が小さいです
■索引は無いのですか?
【2.本書の内容について】
■メイドの年収が日本円で分かりにくいです。高い?低い?
■メイドオブオールワークは書いていますか?
■貴族や雇用主視点の本は書かないのですか?
■どうしてイギリスのメイドなのですか? 他の国は?
【3.『英国メイドの世界』の買い方・第三者情報】
■『英国メイドの世界』はどこで買えますか?
■感想を知りたいです。どこにありますか?
『英国メイドの世界』全体について
■タイトルからすると、メイドしか扱っていないのですか?
メイド以外の男性使用人も広範に扱っています。男性使用人の資料の量では現時点の和書最高レベルとなっています。また、職場での上下関係や組織についても言及しており、「屋敷という職場で働く家事使用人」の資料として設計されています。
■なぜこのタイトルなのですか?
同人誌版を『英国メイドの世界』というタイトルで作成し、愛着がある名前だからです。また、本書は同人ジャンルにおいて「メイド」カテゴリに所属し、その領域内で活動をしてきており、「メイド」の文字は外せませんでした。
■同人版って何ですか?
同人版は2008年に個人で作り上げた同人誌『英国メイドの世界』を指します。同人活動は2001年から行っており(厳密には2000年からで、最初の同人誌を実際に作れたのは2001年)、2008年までに制作した同人誌『ヴィクトリア朝の暮らし』1~4巻+外伝1巻を大幅に改訂して作り、572ページ・厚さ35mm・重さ1kg、合計で1400部刷って完売しています。
詳細は英国メイドの世界ヴィクトリア朝の暮らし 総集編をご確認下さい。
■講談社版と同人版の違いは?
大きく異なるのはコンテンツの質的な要素と、内容・方針です。質的な相違は出版社から出ることで同人誌はどう変わったか?で記しましたが、出版者の手が入ることで非常に読みやすく、分かりやすくなっています。
内容については目次や情報の見せ方、同人版との相違など補足に記していますが、過去に存在した創作パートを削って(「歴史」と「創作」による認識の混在を防ぐため)、男性使用人を追加しています。
全体としては2年間を費やして膨大な改訂(書き足し・書き直し・整理)をしているので、別物だと思っていただいて構いません。
■値段が高いです
著者が決定権を持たないものですので、出版社がリスクを考慮した値段設定になっていると思います。
元々この領域にまったく興味がなかった方が読むには、2800円(税抜き)は確かに高いかもしれません。とはいえ値段は相対的・主観的なもので、学生の方には高いと思いますし、本書を活用したい方には本書で得られる情報を鑑みれば安いと思います。
値段は上下巻のハードカバーの読み物と同じぐらいですし、それぐらいの分量が有ります。一度読んで面白いだけではなく、読んだ後に触れる作品を見る目が変わるなど、読書した後に効果が持続して使えるのも特徴です。
■類書との違いは?
『エマ ヴィクトリアンガイド』と『図解メイド』とは家事使用人についての情報量、特に参考にしている資料数と範囲が大きく異なっています。各職種の解説を19世紀のマニュアルや実在の使用人の声をまじえて緻密に解説し、かつテキストごとに引用・参考資料を明確にしているのが『英国メイドの世界』の特徴です。
『ヴィクトリアン・サーヴァント』は領域によって本書よりも詳しく、また多岐に渡った情報を記していますが、学術書でかつ英国の歴史を理解した「英国文化圏」の方に向けて作られていると私には思え、初心者には敷居が高いと考えます。『英国メイドの世界』は詳しさと読みやすさ・分かりやすさのバランスを追求した「日本人向け(非英国文化圏)」で、『ヴィクトリアン・サーヴァント』と相互補完するものだと考えます。
■写真や図版やイラストが少ないと思います
こちらも相対的な感覚だと思いますが、本書は「図版・イラスト集」ではありません。あくまでも歴史書で、読み物です。また、図版の量が増えるとページ数の増加に繋がり、今回はこれ以上の分厚さには出来ない事情がありました。ギリギリの中で最大化されています。
しかし、少ないといわれるものの、合計では116点ほど揃えています。
写真:4点(表紙をめくった場所)+本文69点
図版:本文24点
イラスト:帯1+本文18点
上記数字は目測で1度限りなので数字に前後があるかもしれませんが、「(ページ数の割りに)少ない」と感じられているのかもしれません。
■写真が小さいです
デザインの都合とページ数の制約の中、ギリギリの大きさで調整していただいておりますのでご了承下さい。繰り返しですが、あくまでも本文がメインです。また、刷り上がりとしては写真がかすれず、綺麗に印刷されていると思います。
上記の「少ないと感じる」のを含め、『英国メイドの世界』がかなりの部数で売れた場合には、より資料に特化した趣味に走った本が作れると思いますので、本書で物足りないと思う方は次回以降(あるかどうかは売れ行き次第)にご期待下さい。
■索引は無いのですか?
こちらはページ数と時間と作業的な都合で優先順位を判断して含めていません。私も実用面ではあった方がいいと思いますが、今回は「読み物」としてアプローチすることを考え、「学術書・辞典としての方向性を強める」索引は、本の作業の中での優先順位が下がったという状況です。
■参考文献一覧はあれですべてですか?
広義な意味での参考資料の一覧も掲載したいところでしたが、ページ数の関連で、本文で引用したものと非常に重要度が高い文献以外は掲載しておりません。以下、一覧となります。
本書の内容についての補足
■メイドの年収が日本円で分かりにくいです。高い?低い?
[FAQ]ヴィクトリア朝の1ポンドって日本円でいくらぐらいですか?を記しましたので、ご参照下さい。
また、日本人の考える中流(1億総中流)という概念と、英国の歴史における広い意味での中流階級(たとえば1867年時点で人口の15%程度しかいない)は大きく異なっていますので、認識の上ではご留意下さい。
■メイドオブオールワークは書いてありますか?
雇用成立の背景や歴史的経緯はメイドオブオールワークを含めたもので描き、一部でメイドオブオールワークを扱っています。しかし、今回の本ではメイドオブオールワークはメインとして扱っていません。
サブタイトルに”How English Domestic Servants Worked in the Country House”と、「どのように英国の家事使用人たちは屋敷(カントリーハウス)で働いたのか」とつけているように、フォーカスしているのは「屋敷で働く使用人=数多くの職種」です。
労働人口として最も多かったメイドオブオールワークを、今回の本に含めるには時間が足りなかったため(どうしても読みたい資料にアクセスできなかったことや、予定のページ数で収めるように私がまとめきれなかった)、今後の同人活動やネットでの発表で扱う予定です。
■英国でメイドの雇用が衰退した経緯は書いてありますか?
本書では簡単に記しています。もっと細かいレベルでの情報はメイドオブオールワークとも密接にかかわるので、上記のメイドオブオールワークの解説に含める形での発表を検討しています。
今のところ、エアーズ家の没落(原題:The Little Stranger)の紹介の中で解説をしたり、同人誌英国メイドにまつわる7つの話と展望の中で大きな概要を紹介したりしています。
まとまったものは2011年中に発表予定です。
■貴族や雇用主視点の本は書かないのですか?
英国メイドにまつわる上記の解説が終わってから、執筆の予定です。とはいえ、かなり領域が広いので、時間がかかると思います。他の方による執筆の方が早いかもしれません。
■どうしてイギリスのメイドなのですか? 他国のメイド事情は?
私の場合はアガサ・クリスティー経由で英国貴族の屋敷に興味を持ち、英国メイドという対象に興味を持ちました。メイド=英国というイメージが私には有りますが、個人的な感想として、コンテンツの多さが影響していると思います。日本語で入手できる資料では英国を舞台にしたものが多くありますし、英語コンテンツの強さ(ドラマや映画)もこのイメージ形成に役立っているのではないかと。『エマ』や『Under the Rose』で興味を持つ人も多いでしょう。
英国の場合、地主の財政基盤が非常に強く、その数も多かったことで、「屋敷そのもの」が数多く残っていることも、英国のメイドイメージを形成する要因かもしれません。かなり淘汰されたとはいえ、観光資源として屋敷は残り、使用人の職場も公開されています。その上、世界最初の産業革命を迎えたことや都市に人口が集中して地方の農村人口が減少する傾向も見られたことで、家事労働者としてのメイドが社会全体で幅広く雇用される現象が顕著にもなっています。
かつて家事使用人として働いた人が多く生きた時期にあっては(1960~70年代)、実在した人々の声を記した刊行物や研究書も相次ぎました。最盛期の時代も、印刷技術の発展で家事使用人にまつわるマニュアルが多く刊行されたり、職場機構や転職市場などが整っているようにも思えることなど、他国より光を当てやすいのではないかと考えられます。
フランスやドイツでも独自に自国のメイド事情を扱う書籍は存在していると思いますが、私はフランス語やドイツ語に精通していないので詳しくは分かりません。日本のこの領域への関心やコンテンツ数、研究者数が英国よりも相対的に少ないだけではないかという気もしています。
『英国メイドの世界』の買い方・第三者情報
サポート情報です。
■買い方
一般書店やネット書店でご購入いただけます。店頭に無い場合は、書店にて取り寄せをお願いいたします。まとめた案内は、『英国メイドの世界』で描けること・描きたいことに集約しています。
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