THE 1900 HOUSE
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ヴィクトリア朝・エドワード朝・ジョージ朝/摂政朝(海外)

『THE 1900 HOUSE』

制作&放送:Channel4
放送:NHK教育『家族で体験 1900年の生活』:2000年

肌で感じる1900年/髪を洗う

「1900年の家で暮らして、何が一番欲しい?」と問われたら、迷わず、「シャンプー」と答えるでしょう。それぐらい、髪の長い女性が20世紀のシャンプーに慣れ親しんでしまうと、1900年のシャンプーの無い暮らしは、厳しいようです。

用意されていた粉石鹸を泡立てて洗うだけでは髪の毛がまとまらず、かゆみも残るようでした。石鹸だけが原因ではなく、水も問題があったかと思います。

髪を洗う場面では流しに頭を向けて、もうひとりが真上からポットのお湯を注いでいました。もっと豊富なお湯を使えば、状況は改善したかもしれません。

個人的には、イギリスの水が問題かとも思います。旅行に行った時、毎日髪の毛はばさばさで、ひどいものでした。日本の水とイギリスの水の性質、それに水の使い方で髪の洗い方も変わってくるでしょう。

石鹸ではかゆみが取れず、髪の毛もまとまらない状況に救いの手を差し伸べてくれるのが、エキスパート・ヴィクトリア朝研究家のDaru氏のはずですが、ここで氏は、またしてもひどいことをします。

ヴィクトリア朝レシピ

様々な本を読んでいると、当時のレシピがいっぱい出ています。しかし、現代的な観点からすると、その効用に疑問が残るものは多々あります。「現代に受け継がれたもの」と「現代に残らなかったもの」、このふたつは当時のマニュアル本を紐解く者にとっては、文字の上では同じです。

『現代で使えるレシピを試してみよう』

それを行った番組が、エドワード朝のレシピを試した、『Treats From The Edwardian Country House』です。この番組は、『MANOR HOUSE』に登場したレシピに限らず、当時の料理やアロマ、それにコスメを試すという一風変わった番組でした。

こうした歴史的なレシピが化粧品や民間療法の薬などで人間に対して使われる場合、それが本当に使えるのか、検証される必要があります。現代にも残っていないものは、その実効性が無かったので、歴史から消えたと考えられるからです。

上記の『Treats〜』でも、すべてが必ずしも書物のままではなく、現代で入手できる材料や製法にアレンジしたレシピを視聴者に紹介しています。(勝手に抜き出したり、書いてはいけないとの但し書き付で。創造物、なんですね)

前置きが長くなりましたが、この番組で、そうした「レシピを披露して一家の危難を救う」はずの人物Daru Rooke氏が、家族にいちばん危害を加えました。

彼はあまりにも「書物の人」「知識の人」でありすぎ、自分で体験していないまま、当時のレシピを「被験者」としてBowlerに試させているからです。

風呂のお湯が出なかった事件だけではなく、もうひとつ、彼が家族(主に女性)にうらまれても仕方が無いと思えた場面が、この髪を洗う場面です。

「どうしても髪を綺麗に洗いたい!」と必死にすがったジョイスに対して、彼が差し出したレシピは……

「卵をかき混ぜ、レモン水で注ぐ」ことでした。

確かに、どこかで「マヨネーズ(卵成分)を髪の毛に塗り、髪を洗うと艶がよくなる」と聞いたことがありますが、結果は無残でした。

他にもレシピはあったと思うのですが……なぜ試したものを送らなかったのか? それは彼が男性であり、スキンヘッドであり、女性の髪の毛を理解していなかったことが理由かもしれません。実際、父ポールもあまり気にしていないようでしたし……

真剣に母ジョイスはDaru氏のレシピを実行したものの、髪の毛はべたべたして、以前に増して、ひどいものになり、不機嫌そうでした。

そして彼女はとんでもない行動に出ます。

シャンプーを求めて

それが、シャンプー購入事件です。リニューアルする前のコラムで書きましたが、1900年に入手可能な品物しか購入してはならないのに、家族はこっそり「シャンプー」を買います。そして、使用するのです。

髪の毛を洗う娘たちは、とても嬉しそうでした。

ジョイスは自らその罪を認め、告白します。そして父ポールと、続けるかどうかの話し合いをします。「私は1900年の体験をしたかったけど、髪は違った」などと言いながらも、結局はシャンプーを破棄して、生活は続きます。

お湯の件もそうですが、シャンプーの一件でも、Daru氏が誠実に、当時の人が本当に使っていた髪の毛の洗い方を紹介できれば、こうした争いは起こりもしなかったでしょう。

余談ですが、Daru氏は『Treats From The Edwardian Country House』にも(友情?)出演し、「玉ネギで靴を磨く」という「トンデモレシピ」を実践します。もう、駄目です。

3日目『肌で感じる1900年(下)/衣食住』に続く
1話目『出演する家族を募集』
1話目『家族が実際に暮らす家を再現する』
2話目『生活が始まる/レンジと衛生』
2話目『食べ物/買い物と食事』
2話目『洗い物は大変/衣装と洗濯』
3話目『掃除も大変/ホコリでいっぱい』
3話目『メイドさんを雇う』(2005/02/28)
3話目『肌で感じる1900年(上)/髪を洗う』(2005/03/04)
3話目『肌で感じる1900年(下)/衣食住』(2005/03/04)
4話目『メイドさんと向き合う』(2005/03/13)
4話目『End Of An Era』(2005/03/17)

旅行記:2005年秋・『THE 1900 HOUSE』の街へ行ってみた

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