[特集]同人におけるメイドブームの可視化(1990年代~2000年代前半)

同人におけるメイド・オンリーイベント一覧(1997~2003年)

メイドブームの母体のひとつとして、私は「同人」に注目していますが、制服・コスチュームをメインとするゲームの展開と、1992年から生じたコミケでのコスプレブームが重なりました。コスプレ大衆化の一形態、メイド喫茶ブームの到来では、1990年代後半にはファミレス・美少女ゲームの系譜のコスプレがコミケの場で見られたと指摘しています。(『To Heart』の制服もコスプレ増加に影響)

このコスプレの題材として、メイドやウェイトレスの服はインパクトを持ちました。『コミケットプレス33』(2010年12月刊行・コミックマーケット準備会の発行紙)の特集「コスプレ」では、1999年に”メイドコスが大ブーム。その他にギャルゲー系が増え、以降定着していく”(P.7)と言及されています。

制服中心・メイド中心のオンリーイベントなどでは同人誌の頒布だけではなく、コスプレも行われていました。ウェブで調べた範囲ですが、次のように1997~2003年までの間に、メイド同人イベントは増加しました。

「コンテンツ軸」での「メイド」と、「制服・コスチューム軸」での「メイド服」とが、境界線なく混ざり合う場所として、同人は一つの役割を果たしたように思いますが、この「ブーム」の端緒となったのは何かは、もう少し学びたいと思います。

1997年11月 『小鳥達の囀』1(『殻の中の小鳥』など)
1998年06月 『小鳥達の囀』2
1999年01月 コスチュームカフェ 1号店(制服・コスチュームにメイドを含む)
1999年05月 コスチュームカフェ 2号店
1999年05月 『小鳥達の囀』3
1999年11月 コスチュームカフェ 3号店
2000年02月 コスチュームカフェ 4号店
2000年01月 家政婦と呼ばないで(メイドONLYイベント)
2000年03月 雛祭(メイド全般ONLYイベント)
2000年05月 帝国メイド倶楽部 コスチュームカフェ番外編壱
2000年08月 メイブルランド(メイドとブルマ)
2000年09月 コスチュームカフェ 5号店
2000年10月 家政婦と呼ばないで2
2001年01月 コスチュームカフェ6号店
2001年03月 メイブルランド2
2001年05月 帝国メイド倶楽部 弐
2001年06月 メイブルランド3
2001年09月 Cotton garland(メイドさん創作オンリー・森薫先生主宰)
2001年09月 まほろけっと1(『まほろまてぃっく』)
2001年10月 コスチュームカフェ7号店
2002年02月 コスチュームカフェ8号店
2002年02月 まほろけっと2
2002年03月 メイブルランド4
2002年03月 もっと!巫女メイドマニアックス(巫女さんとメイド)
2002年09月 まほろけっと3
2002年10月 コスチュームカフェ9号店
2003年02月 コスチュームカフェ10号店
2003年03月 巫女メイドマニアックス2
2003年05月 帝國メイド倶楽部参
2003年05月 メイブルランド5
2003年05月 コスチュームカフェ 関西店
2003年09月 帝國メイド倶楽部四
2003年11月 コスチュームカフェ11号店
2003年11月 Sweet Maid Garden(『エマ』『シャーリー』&創作メイド同人誌即売会)

参考:ギャルゲ中心 みけりんく 過去イベント情報 即売会開催履歴 2000年/2001年前期/2001年後期/2002年前期/2002年後期2003年前期など。

※ミスや実際に開催されていないイベントが含まれているかもしれない点、ご指摘いただければ幸いです。


雑感

『帝国メイド倶楽部』

私は『帝国メイド倶楽部』(2004年、2005年、2008年)、『コスチューム・カフェ』(2005年)にサークル参加した経験がありますが、サークル数が多かった頃は、「同人誌がメインではなく、コスプレの場所」だと感じました。会場では撮影が行われていました。イベントの設立趣旨からいって正しく、私が参加した時期は「コスプレ熱」が高かったのではないかと、今ならば思います。

『ご奉仕大好き!メイド本~エプロンドレスで尽くします』(日本出版社、2003年、P.110)によると、帝国メイド倶楽部は開催当初からおよそ150サークル、1500~2000名の参加者がいたとのことです。直近では最盛期の1/10規模の参加サークルになっていると聞き及んでいます。

『Sweet Maid Garden』

私が初めて参加したオンリーイベントで、参加サークル数は50ぐらいでした。『エマ』『シャーリー』&創作メイド同人誌即売会と非常に硬派でしたが、参加サークルの多くが開始1時間ぐらいで完売したのではないでしょうか? すさまじい熱気がありました。

イベント内ではスタッフによる「メイド喫茶」が開業しており、私の「メイド喫茶」初体験でもありました。コスプレもクラシック主体となっていました。


課題

過去に言及している課題は7-1.同人ジャンルとメイド表現者のルーツと、7-2.同人ジャンルのオリジナル作品とメイド表現です。

同人ジャンルとしての歴史

現時点ではざっくりとしていますが、1993年に一般向けの「メイド同人誌」の存在を確認しました(鏡塵様にお借りしました)。少なくとも1990年代前半には、表現ジャンルとしての「メイド」は存在していました。

コミケでの参加サークル推移

宿題のまま放置してますが、そのうち行う予定です。これも上記に重なります。

『帝国メイド倶楽部』や同人コスプレのメイド喫茶への影響

2003年の帝国メイド倶楽部四レポート(写真は見えなくなっていますが)によると、”メイドスタッフ一同より趣向を凝らしたおもてなしを!”と題して、現在のメイド喫茶をイメージさせるサービスもしています。1999年以降、どんな表現があったか、そしてメイド喫茶に取り入れられた要素があったのかを知りたいと思っています。