家庭用ゲーム機にも無視し得ないメイド作品が姿を見せます。その名も『THE メイド服と機関銃』(D3 PUBLISHER、2006年)です。
家庭用ゲーム機作品でオリジナルの「メイドをタイトルに冠した作品」が生まれることも、2006年がメイドブームの渦中にあったことを物語ります。
作品は「戦うメイド」を踏襲しています。製作したタイムマシンを悪の組織に奪われたマサキ博士は、メイド型タイムマシン・アンドロイド「ユウキ」を発明しました。過去にさかのぼり、少年時代の自分を利用しようとする悪の組織から身を守るため、ユウキは少年時代のマサキ博士のもとに送りこまれます。
作品自体はアクションゲームです。タイトルにある機関銃を撃つこともあれば、ハンドガンやライフルなど銃器を用いて戦うこともありました。作品としてのユニークさは、様々なメイド服が存在して衣替えできることと、「メイドスタイル」というコマンドがあることです。
このコマンドは「かわいらしくポーズを決める」ことで、「お茶くみ」「おそうじ」「おじぎ」「身だしなみチェック」「くつトントン」「一回転」と6種類あり、そのポーズを決めるとポイント評価されるシステムでした(『THE メイド服と機関銃 コンプリートワークス』、KOEI、p.55、2006年)。
製作者インタビューでは、お蔵入りしていた魔法少女作品を練り直す中で「メイド服を着た女の子が銃や刀を振り回す感じがゲームでアクションとして表現できればおもしろいかな、という感じでスタートし」(同p.72)、メイド喫茶に取材に行ったとも回答しています。
メイド喫茶ブームがなければ、この作品は生まれなかったことでしょう。