『スーパーメイドちるみさん』

2000年から、一軒家の一般家庭で働くメイドを『スーパーメイドちるみさん』(師走冬子、芳文社、単行本は2003年)の連載が始まりました。商業の四コマ漫画単行本でメイドの名を冠した初
期の作品です。

登場人物紹介で、主役の香田ちるみは「原田家のスーパーメイド。家事全般大得意だが欠点はも
のを壊すこと」とあるように、とにかく食器を中心に、家財を壊します。非常に有能なメイドであり
ながら、物を壊すという特殊な設定を軸に、物語は進みます。

ちるみが働く原田家は男所帯です。SF作家の父・潤一と、高3の大樹、小4の健の3人家族で、母を亡くしています。大樹は年齢が少し上のちるみを意識していますが、ナースフェチという設定でメイド萌えではありません。弟の健はちるみと結婚したいと積極的に好意を寄せていますが、メイドだからというより、ちるみだからという描かれ方です。

この作品のメイドは特別な存在ではなく、家族旅行に同行して私服になったり、一緒に花火大会に行ったり、「家族にメイドがいる」距離感です。家の中での呼び方は「だんな様・ちるみくん」「大樹さま・ちるみ」「健さま・ちるみちゃん」となっています。

ちるみは健を寝かしつけたり、大樹を朝に起こしたりと、住み込みで働いています。なぜこの家で働いているか、私室や家族の情報は伏せられているものの、「かわいいメイドさんがいる暮らし」という点では他の作品と似ています。

とはいえ、著者あとがきで、『世間のメイドさんに比べてあまりにも色気に欠けるみたいでスミマセン「メイドなのに健康的すぎだ!!」とよく言われてましたヨ…。』(師走冬子『スーパーメイドちるみさん』1巻、p.110、2003年)と語るぐらいで、当初、『家政婦は見た!』をイメージしたという設定によるかもしれません。

2巻以降にはちるみが通ったメイド育成学校の同期・唐沢ちゆりが隣家で働いたり、学校時代の教師・鬼原ちまきが『メイドの鉄則「ご主人様には決して逆らわない」!!と言ったり(同2巻、p.33、2003年)、メイドが訓練を受けた存在で、「学校本部」から勤め先に視察が来るなど、一定水準のプロとしてサービスを提供するメイドが、背景に存在していることが示唆されています。

本作品でも鉄板のコスプレ描写があります。大樹がこだわるナースからセーラー服、サンタほか、遊びに来た健の同級生の女の子がメイド服を着たり、執事喫茶イベントをやったり、10年間連載が続いた作品らしい、メイド喫茶(+執事)ブームの影響も作中に見受けられます。