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[資料本]
英書-使用人・メイドさん/家政
『A DAY IN THE LIFE OF A VICTORIAN DOMESTIC SERVANT』
著者：L.Davidoff & R.Hawthorn発行：George Allen & Unwin(Publishers)ltd
時代：ヴィクトリア朝
amazon.co.ukで買った古本で、刊行は1976年になります。タイトルを読んで面白そうだと通販しましたが、当たりでした。尚、amazon.co.jpで通販出来ますが、２万円以上もするので、co.ukで買うのをオススメします。（2005/05/02現在、日本のamazonでも注文可能になっています。定価でペーパーバック・ハードカバーで出ています）
中流階級のParker家で働く、tweeniesのEllenを主人公にしています。tweenはbetweenを意味し、この場合のbetweenとは「パーラーメイド（表の仕事：家政）」「コック（裏の仕事：料理）」の両方の仕事を手伝うことに由来します。
このParker家では執事とハウスキーパーがおらず、家政はパーラーメイド、料理はコックが担当します。主人に接する仕事はすべてパーラーメイドが責任を持ちます。
起床して、どんな衣装に着替えて、何から仕事を始めるのか。以下の１〜７に従って、彼女の長い一日を丁寧に描写しています。といいますか、メイドの一日を追うだけで一冊の本になるんですね。
1.The Early Hours（早朝）
2.Breakfast（朝食）
3.Luncheon（昼食）
4.Afternoon（お茶の時間）
5.Dressing for Dinner（夕食前の着替え）
6.Dinner（夕食）
7.Rose's story（意地悪なパーラーメイドの秘密）
8.The National Scene（概要）
Background（社会背景）
Recruitment（就職）
Conditions of service（就業環境）
Effects of service（仕事の影響）
Post-victorian change（ヴィクトリア朝以降の変化）
・早朝の起床から掃除
・ペンダントを盗んだと女主人に疑われる。
・後でそれはゴミ箱で見つける。
・見つかるまで、解雇の不安に怯える（紹介状の内容を気にする）
・お嬢様の着替えの手伝い（コルセットをきつく絞める・バッスルをつける）
・魚屋が届けなかった牡蠣を買いに行く
（→外の世界をほとんど知らないメイド。初めてのおつかい状態）
・ディナーの給仕、そして自身の遅い夕飯を食べる。
・意地悪なパーラーメイドの辛い過去を知り、同情するが、何も言えない。
「専門分野はちょっと…」と躊躇する人でも、これは読み物として面白く、オススメできます。
読んでいるとEllenに感情移入して、泥棒と疑われた解雇の危機には同情しますし、テーブルで主人たちに給仕するときは失敗しないか、はらはらします。
意地悪なパーラーメイドにも腹が立ちますが、Ellenに優しいコックがパーラーメイドの哀しい過去を教えてくれて、少しだけ同情するようになり、物語は終わります。
最後はメイドさんの置かれている環境や雇用状況、主人との関係などの大まかな概論と、国勢調査などの資料が掲載されていますので、導入書としてかなりレベルが高いです。特にパーラーメイドの仕事内容とキッチンの描写が、参考になりました。
