[DVD/映画/映像]
ヴィクトリア朝・エドワード朝・ジョージ朝/摂政朝(海外)

『Upstairs&Downstairs』 第一シリーズ

制作:GranadaTV(イギリス/1970年代)

第01話『On Trial』

メイドの少女SarahがRichard Bellamyの家に雇われ、仲間として認められていくまでの話です。とてもやかましく、尊大で自信にあふれるSarahが姿を見せ、「フランス語を話せる」(?)というような言い方をして、屋敷のアンダー・パーラーメイドになります。

周囲の疑いの目を前に、Sarahはフランス語?の歌を披露します。そして先輩のパーラーメイドRoseと打ち解けて、勤めを始めます。

しかしSarahに盗難疑惑がかかります。台所に残った鶏肉をコックのMrs.Bridgesが業者に売ってしまったのですが、その容疑がSarahに。その上、Sarahは勝手に屋敷を飛び出して、行く当てもないので、また戻ってきます。

Mr.Hudsonは聖書を前に誓約書を書かせようとしますが、Sarahは震えて、最後は泣き出します。彼女は字が書けなかったのです。泣き出した彼女を気の毒に思い、なんだかんだで彼女は屋敷に馴染んでいきますが……

第02話『The Mistress and the Maids』

女主人Lady Marjorieの絵を描きに来た画家の家に、使いでSarahは出かけていきますが、そこで酒や甘い言葉に誘われて、絵のモデルになります。下着姿でベッドに寝転がるSarah。それを危惧するRoseを尻目に、Sarahは何度も画家の家に行きます。

やがて画家は『The Mistress and the Maids』という、2枚の絵を描きます。一枚はLady Marjorie、一枚はヌードで描かれたSarah、美術展に出されたその絵は大きなスキャンダルになります。そして新聞にも掲載されるのです。

Sarahはヌードに描かれたことで、「自分がヌードになった」と誤解されていると、画家に疑惑を晴らすのを求め、画家はその願いを聞き、事情を危機に来たRichard Bellamyに説明します。

第一話、第二話と、周囲に迷惑をかけるSarahがこの頃から「駄目」になりました。

第03話『Board Wages』

第三話『Board Wages』はタイトルで内容がわかる人は『マニア』です。「賄いつきの賃金」という意味ですが、主人たちがいない間の賃金というニュアンスを含みます(はずです)。

ここで使用人たちは友人を連れこみ、主人たちのいない階上に乗り込みます。それだけでは飽き足らず、次第に行動がエスカレートして、ついには主人たちの服や装飾品を勝手に身につけ、パーティを始めます。

そこに息子のJamesが帰宅して、事情が変わります。長男はわざと執事の役を演じて使用人たちを酔い潰し(拒絶しようとすると凄んで見せ)、悪ふざけを終わらせます。

しかし、この長男はメイドの少女に言いよります。Sarahは、Jamesの使用人を馬鹿にした態度が気に入らずにか、屋敷を出て行ってしまいます。主人公だと思ったSarahは第四話以降、しばらく出てきません。

第04話『The Path of Duty』

Bellamy家の長女Elizabethの帰宅から始まります。彼女は自由闊達・わがままに過ごしているようで、堅苦しい礼儀作法を無視する感じで、メイドのRoseとも自由な会話をしています。

屋敷にデザイナーを迎えてドレスを作り、Elizabethは社交界に出る為の準備をしますが、当人は乗り気ではありません。そして大事な舞台の途中で彼女は逃げ出してしまい、深夜になってようやく帰宅し、パーラーメイドのRoseにお説教されます。

思ったよりも使用人たちの存在感がある、という印象です。

第05話『A Suitable Marriage』

「ふさわしい結婚」、この長女がドイツの男爵と恋に落ちます。男爵との結婚を夢見、故国を捨てる覚悟さえもしますが、この男爵には秘密がありました。

パーティでBellamy家に泊まる男爵。世話に来た従僕Alfred(役所広司似)は男爵の香水を勝手に使いました。男爵は腹を立て、蹴りを入れますが、許されたアルフレドが手にキスをすると……

しばらくしてその部屋を訪れたRoseは、「着衣が乱れて慌てる」ふたりを目撃し、泣き出します。この話が主人にまで伝わり、Alfredは解雇されそうになります。

Alfredは男爵に救いを求め、ふたりは駆け落ち同然、パーティの最中に姿を消します。残されたのはお嬢様ひとり……

第三話の『主人たちの衣服を着る』ところで「やりすぎだろう」と思っていましたが、まだまだそんなものではありません。すさまじい勢いで展開していきます。

尚、Alfredは変わり果てた姿で、第3シリーズに再登場します。

第06話『A Cry for Help』

新しいメイドMaryと、これから常連になる従僕Edwardが雇われています。しかし、このMaryが主人のRichard氏のいる部屋で、暖炉を掃除しているときに泣き出してから、事件が起こります。

基本的に善良なRichardは泣き出した事情を知りたがり、執事のMr.Hudsonに聞きますが、それは明かされません。深夜に、もう一度、泣いた彼女に出くわし、ベレミー氏は彼女が妊娠しているのを知ります。その光景をLady Marjorieの侍女に目撃されますが。

その後、Bellamy氏はメイドと喫茶店で密会して親身な相談に乗り、孕ませた男Randoll(長男の友人? 親戚?)と対決しますが、責任を取ろうともしませんし、罪の自覚もありません。

弁護士の友人もBellamy氏を説得し、メイドに対して何かしようなんて、無理をすることはないと諭します。Bellamy氏の弁護士が渡したお金を受け取らず、Maryは屋敷を出て行きます。使用人たちは彼女に餞別を渡して、見送りました……

第07話『Magic Casements』

長男Jamesが友人を家に連れてきます。この魅力的な青年とLady Marjorieが恋に落ち、舞台を観劇して付き合ううちに、あっさりと肉体関係になるのです。

使用人たちの間でも話題になり、執事のMr.Hudsonは主人の側に立ち、噂をする他の使用人を戒めていますが……やがてBellamy氏は夫人の不倫に気づいてしまいます。

夫人は不倫を終わらせ、一方的に男を突き放します。そして夫婦仲のよい姿を見届け、満足そうな笑みを浮かべるMr.Hudson。執事の鑑です。ドラマもこのカットで終わるのです。

第08話『I Dies from Love』

屋敷に平和が戻ってきたように思えましたが、次の第八話のタイトルは『I died from love』。「不倫の続きかなぁ」「死ぬほど恋する話」程度に思っていたのですが、あまりの急展開に泣きました。

第一話から登場している、少し要領が悪く臆病なキッチンメイドのEmily。彼女は屋敷に来る客人の従僕に恋をして、交際が始まります。外でのデートに喜びを隠せないEmily。

しかし従僕の主人がこの恋に気づいてか、交際が禁じられます。恋焦がれるあまりに泣き暮らすEmily。そして、主人たちが企画した『使用人たちの為のバザール』の日、哀しい事件が起きます……

まさか、こんな展開になるとは予想していませんでした。悪ふざけのコメディ路線と思いきや、かなりシリアスな進行です。登場人物の入れ替わりが予想以上です。

使用人や主人に起こりえるエピソードを詰め込み、どこまでも全速力で突っ走っていきます。さすがイギリス(『モンティ・パイソン』『レッドドワーフ号』の国)、という感じがします。「次回は一体どうなるのでしょうか、目が離せません」、と思いながら放映当時の人は見ていたんでしょうね。

シリーズを追うごとに質が低下していくのが自然ですが、このまま終わりまで行って欲しい物です。とりあえず来週ぐらいには第一シリーズをコンプリートしたいです。

第09話『Why is Her Door Locked ?』

朝、コックのMrs.Bridgesが部屋に鍵をかけたまま、出てきません。Emilyの死が堪え、姿を見せても情緒不安定のまま。

彼女が厨房にいるとき、新メイドAliceが部屋の前を通り、何かの物音を聞きます。Mr.Hudsonと共に部屋の鍵を開けるとそこには、なんと赤ん坊が!

Mrs.Bridgesは誘拐事件を起こしていたのです。

主人と執事が尽力し、赤ん坊の両親を見つけます。Bellamy氏は穏便に済ませようと夫婦揃って赤ん坊の親のところに行きますが、子供の父親は警察に告訴すると言い、次の日に、Mrs.Bridgesは逮捕されます。

その後、Mr.Hudsonの何かしらの秘密が明かされ(聞き取れません)、赤子の父親の説得や裁判の席での立派な振る舞いで活躍する、非凡な姿が見られます。執事スキーにはたまらない展開です。

メイドの死によってMrs.Bridgesの情緒が不安定だったことが認められ、(多分)執行猶予付きの軽い判決が下され、屋敷で再び、彼女は働けるようになりました。

第10話『A Voice from the Past』

このところ慈善事業に夢中の長女Elizabethが、友人と共に慈善施設で給食の手伝いをします。そこにJamesも戸惑いながらいきますが、なんとそこで、あのメイド、「Ssrah」に出会うのです。

彼女は咳き込みながら、汚れた身なり、まるで娼婦のような格好(売れない役者らしいのですが)で登場します。再開を果たしたふたりの様子に気づき、ElizabethはSarahを再雇用することを決めます。

一度は屋敷を抜け出したSarahはアンダーパーラーメイドから、スカラリーメイドで出直しますが、相変わらずのトラブルメーカー。不平ばかり並べ立てますが、Roseの優しさにつけ込み、旧交を温めます。

ElizabethとJamesは基本的に、両親があまりいない時に屋敷に戻ってくるようです。屋敷にはMr.Hudsonがいません。

そんなこんなでトラブルを引き起こすSarahは、「交霊術」を始めだし、死んだEmilyの霊を呼び出すといって、他の使用人に自分を認めさせることに成功します。(こういうところが大嫌いです)

母親の霊を呼び出して欲しいと折り入って頼み込んだハウスメイドのAliceがSarahの詐術に気づきます。傷ついたAliceは結局、屋敷を出て行ってしまったようで、Sarahはまんまとスカラリーメイドから、元の地位を取り戻しました。

第11話『The Swedish Tiger』

そのSarahに、盗難疑惑がかかるのが第十一話『The Swedish Tiger』です。例のメイドを妊娠させたRandollが勝手に屋敷に上がりこみ、家の中の装飾品を盗みまくり、その罪をメイドSarahに着せるという話です。

Sarahも馬鹿なので、無防備に彼の家にまで行って、彼の所業に荷担し、古買の商人への運び屋紛いの行動までしてしまいます。絵描きの件といい、まったく懲りていません。

今回はかなりリスニングが重要な要素になって、細かいニュアンスを聞き取れないので、何が何だかわかりませんでしたが、Sarahはいなくなりました。

Sarahの「やかましさ」が好きではないので、良しとします。Eiliyの死を茶化したようで、彼女はいただけません。また、自分が原因で人から咎められるとすぐにやかましく言い訳するところなど、人としての駄目っプリを発揮しています。

第12話『The Key of the Door』

Elizabethが平等思想にかぶれる若者サークルに夢中になり(思想もありますが、その中心人物の男・詩人Lawrenceに惚れているのが大きな要素)、家族と対立します。

家に客人を招き、平等思想を語りながらも使用人たちに大量の食事と酒を給仕させる矛盾(今までで最もこき使われていました)に気づかない彼らを描きながら、そこに両親が帰宅し、彼らは追い出されます。

しかし友人から重要に思われたいエリザベスは両親に向かって、「友人に謝罪しろ」と要求します。その上、「靴を履いていないスラムの子供」に靴を買い与える為に、彼ら子供を連れて、靴屋に行きますが、持ち合わせが無く、父親の世話になります。

誕生日?の準備を屋敷中でしていたようですが、エリザベスはそれを無視して、仲間たちの下に行ってしまいます。

挙句、家を飛び出します。「何もしない他人」を責めながら、自分自身は豊かな生活を捨てられず、両親に甘えています。仲間たちも、「両家の子弟」という感じです。

「きっとお金を騙し取られるんだろうなぁ」と思ってみていましたのは、「ドストエフスキーの『虐げられた人々』を連想したからです。同じような、世の中を良くしていけるという若者のサークルがあり、彼らは「仲間の少女が相続するはずのお金」で世界をどう変えていくのかを、真剣に話し合うのです。

特に騙されることも無く、Elizabethは家を出て終わります。

第13話『For Love of Love』

パーラーメイドのRoseが職務を放棄して、家を飛び出したElizabethの為に荷物を持っていきます。RoseはElizabethのことをMiss Lizzyという愛称で呼ぶことを許されています。

そこでElizabethはRoseを「友人」と紹介しますが、「私はパーラーメイド・使用人」だと主張して、平等に扱われるような態度や言葉を迷惑そうにしています。ここに主人と使用人の温度差が存在します。

さらに、いつのまにかSarahは「人気の舞台女優」になっていて、ダンスと歌を披露しています。楽屋にはJamesが足を運び、ふたりの交流は続きます。なんだかんだでこのJamesも「気が多い美男子」なので、トラブルメーカーです。

Elizabethは女の友人と一緒に、あちこちへ寄付を募る手紙を書いているようです。それはディケンズの『荒涼館』に出てきた、「アフリカの子供の心配はするけれど、家の子供は放置」しているキャラクターのようでした。

細かいニュアンスがわからないのですが、この後、Elizabethが憧れる(同居している?)男は彼女の屋敷を訪れて、Bellamy夫妻と話します。

何を話したかわからなかったのですが、後半になって、なんと「結婚」を申し込んでいたのが判明します。

使用人一同は結婚を祝してElizabethに時計を贈り、次の日には全員が着飾って、Elizabethの結婚式へと向かいます(使用人は教会の二階席)

1908年、この時代の結婚式の模様が描かれます。花嫁が自宅で着替え、父親に付き添われて、幸せな結婚式になるかと思いきや。

またSarahです。しかも、1階席。

人目を引く格好で現れ、騒ぎの予感が。

しますが、特に問題も無く、結婚式後の披露宴が開催される屋敷、その地下で昔の仲間と騒ぐだけです。騒ぎすぎてMr.Hudsonに怒られますが、Mr.Hudsonは「Sarahが屋敷に客人として迎えられている」ことを思い出し、言葉をあらため、「上の階に戻るように」と諭します。

そこにJamesが現れ、ふたりは手を繋いで去っていきます。(元)メイドと主人との恋なのですが、あまりにもSarahに感情移入できないので、まったく話に期待できません。

次回シリーズにも続きそうで、Rose&Mr.Hudsonに期待するしかありません。

第1シリーズ最終話と同じディスクには「25周年記念」の特別ディスクが入っています。いきなり、フットマンを歩かせて、「引きずるように歩くな、ソフトに」と厳しい顔で説教するMr.Hudson。

それからは過去の出演者へのインタビューになります。みな綺麗に年を取った感じで、いい顔をしています。そしてインタビューの長さから、主役がRoseだったと判明しました。

簡単にあらすじだけを追いましたが、「Jamesとメイド出身・Sarahの身分違いの恋」「Roseとお嬢様Elizabethの関係性」「執事Mr.Hudsonの忠誠心」、このみっつが主軸になっているようです。

そして、記念ディスクに差し込まれる今後のシーンには、綺麗なメイドも出てくるようで、期待しています。もしかしたら、「これからが本編」かもしれません。

というかSarah、見たことの無い映像の中で、普通にメイドの姿をしているんですが。いったいどういう展開になるんでしょうか? また戻ってくるんですか?

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