制作日記

2004/03/31(水)

久しぶりに名探偵ポワロシリーズを読み直しています。新規に創刊したクリスティ文庫を少しずつ買って、『ビッグ4』『オリエント急行殺人事件』、それに『杉の棺』(これはまだクリスティ文庫には無いので図書館)を読みました。

十年以上前に読んで以来なのですが、思ったよりも話が読みやすく、3時間程度で読み終わります。そこで気づいたのが、「家政婦」と「メイド」の違いです。

自分も昔は一切気にしていませんでしたが、訳者は「ハウスキーパー」をそのまま「家政婦」と訳しています。ところが日本語で言う「家政婦」と、使用人のいる時代の英語の「ハウスキーパー」は、意味合いが違います。

日本語でいう「家政婦」と「メイドさん」の違いを言うのは難しいですし、自分としては同じようなものだと思っています。しかし、英語の「ハウスキーパー」は「メイド」よりも、責任も権限も大きく、給与も高い「上級使用人」です。

女性使用人の雇用に責任を負う立場であり、家政の監督者でもあります。『杉の棺』では翻訳に苦労したようで、エマ・ビショップという女性は、「家政婦」ではなく、「召使頭」と翻訳されています。また、クリスティ作品ではメイドを「小間使い」と書くことも多いように思えます。

いずれにせよ、この「ハウスキーパー」がいる屋敷は、それなりに豊かな家だということを読み取れますし、執事も同様です。

翻訳した人がどの程度、当時の屋敷や使用人事情を理解しているかはわかりませんが、屋敷という舞台に欠かせない登場人物である「使用人」を理解すれば、よりクリスティ小説の舞台設定が面白くなります。

今のところこれら3冊だけでも全冊、使用人は出てきていました。

尚、自分の中での「メイド」「メイドさん」の相違は、前者が「リアル・過去の歴史の中の人々や研究対象」であるのに対し、後者は「創作・ドラマなどのフィクションや、イメージとしてのメイド」というところでしょうか。
2004/03/29(月)

届いちゃいました、amazon.comの本が。船便で頼んだつもりが、飛行機でやってきたようです。だから送料が高かったんでしょうか? 今回は地図・写真中心、文字少な目という路線でのチョイスなので、すぐ読み終われそうです。

昨日は日記を書いた後もネタ出しをしています。今のところ、「舞台別・登場人物別・題材別」にわけて、短編を書くつもりです。週1本ぐらいの気持ちではいますが、ネットで公開する場合、テンプレートというのか、レイアウトを作るのが面倒です。

なんにせよ、百本書くつもりでいますので、末永く見守ってください。
2004/03/28(日)

今日、午前中に『かげろう』を見に行きました。エマニュエル・ベアールの主演映画で、第二次大戦中のフランスの片田舎の光景が綺麗でした。

パリからの避難の途中で空から襲撃を受け、国道を離れて逃げることになった女性と息子と娘、それに息子を助けた謎の少年。四人で逃げるうちに屋敷を見つけ、そこに勝手に住み着くことになる……

ベアールの美しさだけを見ていたような時間でした。映画の中でもふれられていましたが、「笑顔が見たくなる顔」をしているんですね。「いつもつまらなそうな顔」をしている人が、目の前で笑ってもらえたら、きっと男なんて、くらっとしてしまうでしょう。

ある意味、島本和彦の『思いがけない一面作戦』ですが。

『8人の女たち』の時、あの人は30後半のはず。少女のようにも見え、年齢のわからない人です。実際の少女時代は、どんな顔をしていたのかなぁなんて思います。

さて、劇場のチラシを見て、そして予告編を見て、拾い物をしました。『真珠の耳飾りの少女』と題した、『かげろう』終了後に公開される映画は、フェルメールの有名な絵画の「モデルになった少女」と、画家との物語です。

映画の設定では、この少女、「メイド」です。色彩の感覚を持ち、フェルメールがその才能に惹かれていく。けれど少女は使用人で、妻は嫉妬し、その美しさに出入りの画商は欲望を覚える……そんなストーリーだそうです。

劇場を出るとき、前売り券を買いました。ヴィクトリア朝ではないですし、国も違いますが、メイドと主人との愛・才能のふれあいが主軸になりそうです。

身分が違い、家庭内では従者でしかない使用人の中に、主人と同じ芸術の才があったとき、それは社会的な関係性を崩し、周囲を巻き込んでしまうというような話でしょうか。

メイドや使用人、屋敷を知ることによって、過去の時代の映画や小説の舞台背景をそれなりに理解したり、感覚を共有していけるようになっています。
2004/03/27(土)

久しぶりに集中して『Upstairs Downstairs』を見ました。時間的に集中しただけで、気持ち的にはアイロンを掛けながらなので、あまり集中していませんでしたが。

違った角度でのコメントになりますが、戦時中だけあって、各人が「使用人職を離れて国家のために」働いています。Rubyは工場へ、Edwardは戦場へ、Mr.Hudsonは臨時の警官として、そしてRoseはバスガイドとして。

主人階級のGeoginaもナースとして、勤めに出ています。別に制服マニアでもないんですが、当時のメイド、バスガイド、ナースと、戦時中の制服が出揃っています。

この同じ頃、ベルギーからの避難民の中に、スタイルズ荘に身を寄せている、「エルキュール・ポワロ」がいます。錯綜する世界が繋がった感覚は、なかなかに気持ちいいものです。

このところ創作をしていなかった反動か、ドラマを見ている間に、超短編のプロットが三本、出来上がりました。ネット上か同人誌かわかりませんが、メイドさん百人を登場させる物語に、挑戦しようかとも思います。

さて、久しぶりに『エマ』の森薫先生のサイトを見ましたが、日記の中でお母さんが逝去されたことにふれられていました。また、コミケ・DR.モローさんの絵でおなじみの、イワエモンさんも亡くなられたとのことです。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

生きている間に、何を残せるのか、消費するだけではなく、形あるものを残したい、自分が光を当て、誰かに受け継がれていく、そういった気持ちこそが、自分にとっての創作の原動力です。

時間を大切に、その上で自分が喜び、人が楽しめるようなものを作っていけたらと、気持ちを新たに新年度を始めようと思います。
2004/03/21(日)

この前、少し触れた『名探偵ポワロの華麗なる生涯』を読んで、クリスティ作品と屋敷・使用人・料理の研究をしたいなぁと思っていました。過去に読んだ時とは読む自分が変わっているからです。高校時代は「屋敷きれいだなぁ、料理いいなぁ」と思っても、「メイドさんいいなぁ」「カントリーハウス最高!」なんて、思ってもいませんでした。

その視点で書いた本が無いか、最初に英書で探しましたが、検索ワードが適当ではないせいか見つかりませんでしたが、和書ではありました。

『アガサ・クリスティーの食卓』という本で、作品内に登場する料理のレシピも網羅しています。『シャーロック・ホームズの料理読本』と違うのは、「日本人が書いている」ことです。同人誌でこれから扱おうとするイギリス料理についての考察を深められればいいなぁと思います。

そして本同人誌の活動が一段落したら、「クリスティ作品と屋敷・使用人」について、新しい同人誌かを作るか、ネットでの活動をしようと思います。イギリスを探せば市販の本でありそうなので、それを探し当てられないという条件が満たされれば、ですが。

今回買った本の参考文献に、似た系統の英書があるかどうかを期待したのですが、残念ながら、ありませんでした。

それとは別に英書の補充を行いましたが、今回は使用人関係資料が2冊、カントリーハウスが8冊といった分量です。カントリーハウスの資料も、今までのような分厚く難しく読みにくいもの(そして実際にほとんど読んでいない)ではなく、「薄く」「図面中心」「写真中心」「安い(重要)」ものを中心に、セレクトしました。

ずっと欲しかったマーク・ジルアードの『The Victorian Country House』は以前日本のamazonで頼んだときは結局品切れ、今回も3〜5週間を信じていましたが届く気配が無いので、アメリカの通販で買うことにしました。

送料が非常に高い(本代75%:送料25%)ですが、同じ本でも日本では15%の割引率が、アメリカでは割引率30%になっていたり、古本市場がすさまじいので安い本を入手しやすくなっています。また日本のamazonには存在しない絶版本も、comやukには存在していることもあるので、年に1〜2度ぐらい、まとめて買っています。

ところで、日本のamazonでも、聖典『THE RISE AND FALL OF THE VICTORIAN SERVANT』が1500円ぐらいで買えるようになります。比較的Pamela Hornさんの英語は単語のセレクトがわかりやすいので、失敗を覚悟で、買ってみてはいかがでしょうか?(最近読んでいる『Country House Life』筆者の単語の言い回しや選び方には、殺意さえ芽生えます。簡単に言えるのにわざと難しい言葉を選ぶという、伝えることの大切さを置き去りにした、いわゆる衒学的な言い回しを好む日本の岩波文庫のようです)

この一冊が日本におけるイギリス・メイド学の基礎知識(『路地裏の大英帝国』の使用人箇所の原典、『エマ ヴィクトリアンガイド』でも多数使われている)を成しています。これが一冊、和書で出ていたならば、自分は同人誌をそんなに入れ込んで作っていなかったと思えるほど、総合的で幅広い内容です。数少ない、★★★★★文献です。
2004/03/20(土)

見てきました、『イノセンス』。今回は久しぶりに「二回続けてみる」ということをして、ものすごく体が痛いです。一度目は偶然、前の列の人が目の前の席に荷物を置いてくれてスクリーンがはっきり見えましたが、二度目は視界の15%以上が高校生らしい少年の頭に……劇場は選ばないといけません。

オープニングで泣けるぐらいに映像表現としては極地に達したと思いますし、多分、自分では理解できない、解説でもされない限りわからない表現技法の頂点に達するようなことも、織り込まれていると思います。

前作では「少女型の義体へ近寄っていくワンカットフレーム」を1シーンでしか使っていませんでしたが、今回はあちこちで当たり前のように使っていました。

ただ、全体の評価で言うと、「普通」に感じました。CGがCGらしくありすぎていました。エキセントリックな描写や表現もありますが、今回は押井監督の遊び心というものがあまり感じられず、他の映画ならば「ちりばめている」監督の言葉が、濃縮に全体に出すぎていて、言葉が作り物めいている感じもしました。

もしかするとそれは、意図的なものかもしれません。『聖書』や『失楽園』の引用さえも、「脳内データベース」で正確に引用できてしまう、相手の言葉がわからず「聞く」というコミュニケーションさえも減るような、人間同士の当意即妙の掛け合いというものさえも、データの交換に過ぎないような、そうした雰囲気もありました。

確かに、友人と学生時代の懐かしい話をしていると盛り上がる反面、「いつもその話題をしているような」錯覚を感じたこともあります。積み重ねてきた過去を話す今は、果たして、今後の未来に「積み重ねてきた過去を話す今」になれるのかと。情報が通り過ぎているだけではないのかと。

監督が感じる人形への美意識、という面で共感できれば、あれは最高の映画だったと思います。純粋なアクション表現で言えば、予告編で出ていた『アップル・シード』の方が、「綺麗さ」は感じました。多分、記号としての「絵の好み」(見慣れているものとそうでないもの)の差だけなんでしょうが。

ただ、背景描写には信じられないほど魅せられました。特に建物の描き出すスカイライン(空と建物の屋根のライン)の美しさ、キムの館やロクス・ソルス社の本社ビル……実際に存在し得ないものを、他では表現できないものを表現するといったもっとも表現らしい「尖った」面では、さすがと言った感じです。

戦闘シーンではないのですが、砲撃シーンにはCGの技術の粋を感じました。あれぐらいのレベルの映像が、NHKで放送されるという『坂の上の雲』にあればいいなと思います。

音楽もよかったですし、銃撃の重厚な音も響きました。なんというのか、大口径の爽快感がなんとも言えません。(艦砲射撃のシーンも)。

あと、最後に思ったのは、序盤に建物に入っていくバトーの視点で描かれる映像、あれがそのうち、当たり前のようにゲームに組み込まれていく時代が来るのでしょうか?

VR(バーチャル・リアリティ)という言葉は色褪せたとさえも思いますが、いずれあれほどの映像を実際に「体験できる」時代、現実と虚構の区別が無いような、それこそ『AVALON』の世界が来るのでしょうか?(『マトリックス』というべきなんでしょうが)

存在感ある世界、未来図を描き出した点で、この映画はすさまじいものだと思います。

おまけですが、『ハウルの動く城』の予告編、今まで見たどの映画の予告編より、「本編を見たい」と一瞬も思えない内容でした。あれほど、予告編内のキャッチコピーが響かないものは珍しいです。というか、あれぐらいの予告編ならば、するだけマイナスです。

どちらかというと、ヴィクトリアンやスチームパンクな雰囲気満載の『スチームボーイ』の背景を見に行きたくなりました。あれは「少年が少女に出会って」路線のようですし、背景の綺麗さからも見に行く価値がありそうです。

来週は『花とアリス』を見に行こうかと思います。出来るだけ広いシートのある映画館で。ちなみに、『イノセンス』のプロダクションデザイナー(綺麗な舞台設定)の人は、『花とアリス』でも仕事をしているようなので、その部分でも楽しみです。

最後に、同人誌の今年のキャッチコピーを決めました。「『エマ ヴィクトリアン・ガイド』と戦える同人誌」です。

ただ、自分で言うのもなんですが、エネルギーと尖がり具合で、昨年自分で作った本を超えるものを、今年の自分が作れるかどうかは、自信が無いです。予想する活動のカーブでは、去年がピーク、今年から活動の終わりへと向けた準備になっていきます。

設計そのものはどうにか今月中に終わらせて、来月から夏に向けて、そして冬に向けての作業を始めようと思います。またしても無駄に資料本を買いあさってしまいましたが。
2004/03/19(金)

第3シリーズに登場する綺麗なメイドDaizyですが、従僕のEdwardとくっついてしまいました。女性と見れば手当たり次第にセクハラしてきたEdward、戦争に行くことを決めてから、Daizyとの距離は一気に縮まります。

そんな使用人同士の恋と婚約を、苦々しく思うのはMr.Hudson。ずっとEdwardと一緒だったのに、あまり可愛くないRubyに幸せは訪れません。

ちょっとショッキングというのか、さすがイギリス人というのか、昨日見た話のラストシーンは、全国のヴィクトリアン・ファンには衝撃的かもしれません。

Edwardが私室で寝ていると、Daizyが別れを惜しんでやってきます。抱いてほしいという彼女にEdwardは「子供ができたら使用人として働けない」(僕は戦争で出かけてしまうし)というような発言をしたら、Daizyは「私のことは私が自分できちんとできる」「子供も育てる」と、Edwardを励まします。

その後は「私は初めてなの」「あなたは初めてなの? 従僕って出かけた他の屋敷でそこのメイドとかと機会があるんでしょ?(Edwardはフランス人のメイドに誘われるが、入ろうとしたその部屋にその屋敷の主人が入っていくのを目撃)」と言われると、「僕も初めてだよ」と応じて、そのまま抱き合って、その話が終わります。

ここだけ英語がしっかりと聞き取れている? 気のせいです(笑)

結論としては「髪を解いた姿もいいなぁ」という感想に落ち着きました。

その一方、健気なお姉さん的存在のRoseは不幸です。おつかいで、Mrs.Bridgesの作ったケーキを持参してバスに乗りますが、隣に座ろうとした男が誤って潰してしまい、彼に弁償させる為に、ケーキ屋さんに行きます。

そこにくっついていた喫茶店で話をするうちにふたりは付き合い始めます。彼はオーストラリア人、農場の妻になることに反対する周囲の声をよそに、Roseは婚約して、オーストラリアに行くことを決めて、出発しますが、その当日に……

Roseは第2シリーズでも馬鹿なElizabethのせいで刑務所に収容されたり、この後もフィアンセが戦死する運命などが待ち受けているようです。Sarahと知り合ったのが、運のつきでしょうか。

あまり関係ないですが今日、『金スマ』を見ていると、イタリアの富豪の女性が出ていました。日本人の母を持つ彼女の再現ドラマ、なんとイタリアの屋敷では若くて意地悪なメイドさんがいっぱいいました。

その上、父親が彼女に「屋敷の女主人」をやらせようとしたところ、使用人たちが反発したとか。それを日本人であることへの差別のように描写していましたが、戦後であっても、国が違っても、使用人の伝統が生き続けているならば、半分ぐらいは使用人の反発も正当かと。

来ている服のしわをとってといった彼女に、メイドがアイロンを直接当てるというのはやりすぎですが……
2004/03/14(日)

結局、映画は来週にしました。土曜日と日曜日を使って、ドラマ視聴と読書で時間をすごしました。『Upstairs Downstairs』は第3シリーズまで見終わりました。これで39話/68話、折り返し地点を通過しました。

第3シリーズはRichard Bellamyの夫人Lady Marjorieが第一話の終わりで逝去するという波乱の幕開けで始まります。

これまでの主役Elizabethが登場せず、長男のJamesが父の秘書(Respectableな職業・タイピスト)のHazel Forrestと結婚し、新婚生活を営むという流れです。

しかしJamesはSarahを妊娠させ、インドから連れてきた婚約者とも別れただけあって、「オンナスキー」の習性が抜けきらず、Dianaという女性とHazelの前でいちゃつき、従妹(Lady Marjorieの弟の娘)Geoginaに好意を見せたり、Hazelの流産なども重なり、夫婦仲は冷え切っています。

そんな中で、ようやく「若く綺麗なメイド」が出てきました。Daizyと言うアンダー・ハウスメイドです。彼女の初登場の回に出てきたGeoginaも綺麗で、画面が急に華やかになりました。

ところが話そのものは次第に戦争の影が色濃く出てきて、第3シリーズの最終回にはベルギーの国王がイギリスの国王に助けを求めるというニュースと、イギリスの参戦が決まりました。軍人であるJamesは出征していく……そんな展開です。

いろいろと見所はありますが、ドラマの話はここまでです。

今日は図書館にも行き、『名探偵ポワロの華麗なる生涯』という本を借りました。以前、書店で何度も見かけては、「原作を読めば足りるじゃん」とか、「どうせありがちな本だろう」「いかがわしいタイトル」と思って、立ち読みさえしませんでしたが、借りてみると「あぁ、クリスティを読みたい!」と思える面白い内容でした。

小説中でのポワロの活動時期を、実際の時代背景を通じて語っていくというもので、「一時代」だと思って呼んでいた自分には、目からうろこでした。中でも、「第二次大戦後もポワロが活動している」のを知ったのは、驚きでした。

また、文中には屋敷や貴族、使用人、ディナーがいろいろと描写されており、クリスティをほぼ全作読んだ高校時代にはまったく関心がなかった(あの頃は描写を楽しむというより、「推理」そのものを追っていましたので)面での、背景世界の魅力に、驚き、また読み直したくなりました。

ドラマで見て背景世界の美しさはわかっていましたが、小説の描写も濃密であり、今の時点の自分には、そちらの方がより楽しめそうな感じがします。なので、最近はいろいろと読む本を増やしてきていましたが、十年ぶりにクリスティの全作品を読み直そうと思います。

そして「華麗」つながりですが、『華麗なるギャツビー』も読みたいなぁと思いました。契機は、『Upstairs Downstairs』のドラマをアメリカで販売するA&Eという会社のチラシの写真が、まさしく「華麗」だったからです。国はアメリカ、時代も新しいですが、主演女優はミラ・ソルビーノ(最初に名前を知ったのは某・WIZARDRYの小説ですが)、帽子をかぶった姿が、ものすごくいいです。

ただ、日本のAMAZONではロバート・レッドフォードの映画版しか扱っていないようです。しかしそれもコッポラ監督が脚色=面白いはずなので、レンタルしようと思います。ちなみに本家AMAZONにあったアメリカ版ドラマDVDは17ドルぐらい……

こんなふうに気が多く、翻訳も止まってしまい、ちょっとピンチです。コミケまで今月を含めて五ヶ月ありますが、実質的に四ヶ月しかありません。その上、夏コミは「冬コミの準備」に含まれており、題材選びが冬のクオリティを左右する分、設計図はそろそろ完成させないとまずいです。
2004/03/12(金)

今日の読売新聞夕刊を見ていると、映画情報が満載でした。一番見たいのは『イノセンス』、次にcageさんオススメのベアール主演・『かげろう』、そして今日見つけて「行きたいなぁ」と思ったのは、あの岩井俊二監督の『花とアリス』です。

主演が『リリィ・シュシュのすべて』に出ていた、蒼井優。もうひとりは鈴木杏。新聞によると『LoveLetter』『雨月物語?』に続き、最高の恋愛映画だそうです。可愛い子に弱いので見に行き、演技の下手さ・シナリオに愕然とすることがありますが、今度は大丈夫だと思います。

今週末か来週末辺りに行こうかなぁと思います。
2004/03/11(木)

久方ぶりにNHK総合でアニメが放送されるのが話題になっています。放送される『火の鳥』そのものは特に思い入れが無いのですが、今日の読売新聞夕刊によりますと、その後の番組で、『アガサ・クリスティの名探偵ポワロとミス・マープル』というようなタイトルのアニメをやるそうです。

アニメ系の雑誌を買わなくなったので、情報源が新聞というのも何ですが、ミス・マープルの親戚の少女が探偵を目指し、ポワロの事務所で働くというもの。その上、ヘイスティングス大尉は、なんと二十代らしいのです。

同人誌で「ポワロ×ヘイスティングス」なんてものが出てくるのでしょうか? というよりもこれまでのカタログを見ると、今の時点でもポワロ同人誌はあるようですが……

ところで、秘書のミス・レモン(レモンには「つまらない女」、という意味があるのを知ったのは最近です。ドラマ版ではある程度、チャーミングに描かれています)、ジャップ警部は出てくるのでしょうか?

いずれにせよ、声優はドラマ版と変えてくるとは思うので、誰になるか、楽しみです。年末からのNHKの流れとして、かなりメイドが出てくるではないかと、予想しています。大好きな作品がアニメ化される是非については、この際、おいておきます。

さて、最後に。『Upstairs Downstaris』の問題キャラ、SarahとThomasを題材にしたドラマがあると書きましたが、DVDで近日発売するそうです……
2004/03/09(火)

『Upstaris Downstairs』も第3シリーズに突入しました。第2シリーズはEdward王(ヴィクトリア女王の子供)の死亡で終わり(よく考えると、前に書いた長谷川如是閑の『倫敦!倫敦?』の頃です)、第3シリーズは1912年からスタートします。

時代は新しく、屋敷の主Richard Bellamyはタイピストの女性を秘書として雇っています。彼女が果たして「使用人」なのか、「Respectable」なのかで一悶着あり、あやうく執事のMr Hudsonが辞職を申し出る事態にまでなりました。

ところが、これは序曲に過ぎません。この話で「夫人が死ぬ」とDVDのあらすじには書いてありましたが、その死に方は、ここには書かないでおこうと思います。


2004/03/07(日)

好評?なのかわかりませんが、リクエストがあったので『Upstairs DownStairs』について書いていこうと思います。日記からは近いうちに切り離していきます。仕事が忙しく、最近はあまり英書も読んでいませんが、このDVDは見ています。

即売会イベント情報では、お知らせがあります。まだ確定していませんが、オンリーイベントの参加を決意しました。2004/05/09(日)開催の『帝國メイド倶楽部』に初参加することにしました。申し込み段階なので確定次第、再告知します。

そろそろ翻訳を再開しないと、夏の作業が滞りそうです。まだ1ページも書いていないので、貯金を作っておかないといけません。

最近の読書では『モンテ・クリスト伯』、友人から借りた『キルリアン・サーガ』(『魔法の国ザンス』の筆者のSF)を読んでいます。後者からは、本同人誌に関わる刺激は無いのですが(いろいろな意味での刺激はありましたが)、前者は豪奢な暮らしや社交界(フランスですが)の描写がありますし、衝撃的な言葉もありました。

それは、モンテ・クリスト伯が奴隷の境遇を救い出し、愛するギリシア人の奴隷エデ(身辺に置いているだけで、拘束・支配をしていません)の言葉です。彼女は伯爵も愛していますが、伯爵はその愛に報いようとはしません。


『わたくしの心を、どうしてわかっていただけるとお思いでして? この方は、わたくしにとっての御主人ですの。そして、わたくしはこの方の奴隷ですの。この方は、わたくしをおわかりくださらないだけの権利をもっておいでですの。』
(『モンテ・クリスト伯(七)』アレクサンドル・デュマ:岩波文庫:P359より引用)


主人には『おわかりくださらないだけの権利』があるという、その彼女の言葉に、使用人としての立場という物が重なりました。主人なるが故に、「理解しなくてもいい権利」があると、従者が認めている・悟っている、哀しい言葉です。

同じような関係性を描きたいなぁと思いつつ、何を書いても真似にしかならないのかなぁとも思います。
2004/03/02(火)

『Upstairs〜』を今まで20話ぐらい見てきましたが、全体に使用人同士が自由気ままに振舞っていて、極端な権力の構図は見えません。思ったよりも、みんな「よく言えば和気藹々、悪く言えば悪態をつきながら」、働いているんですね。

久我が今までに描写していた範囲では「かなり主人に服従」していますが、このドラマでは刃向かったり、口論したり、刺々しい絡みが多すぎます。そのせいで早口になって聞き取れない、というのがあるのですが。

また、どの従僕も隙を見てはメイドを無理やり抱え上げたり、セクハラしたりと、忙しいです。男女の交際は望まれていないはずですが、時代が新しくなっているからか、職場が狭いせいか、交流は非常に多いです。

話の筋を書こうと思いましたが、セーラがどうしようもないほどトラブルメーカーで、その話にばかりなりそうなので、控えます。セーラだけではなく、『男版・セーラ』とでも言うべき「お抱え運転手」トーマス・ワトキンスも登場し、このふたりの協奏曲のせいで「いやーん」な展開が続いています。

さて、ストーリーとは関係ない雑談です。

コミックス『エマ』をご覧の方はご存知ですが、ヴィクトリア朝期のイギリスではアイロンをかけるときに、霧吹きの代わりに洗面器を使っていたようです。洗面器に指を入れ、手についた雫を払って、布に湿り気を与えるのです。

以前、第一次大戦後を舞台にする『名探偵ポワロ』のドラマを見たときに、ジャップ警部がアイロンをかけてました。それを見た当時は何も意味がわかりませんでしたが、最近になって見直すと、ジャップ警部も同じように、手で湿り気を与えていました。

そして、使用人ドラマ『Upstairs Downstairs』でもアイロンをかける際に、同様の「洗面器」を使っていました。イギリスではこれが、伝統なのでしょうか。

絶対の正解かといえば、難しいところです。すべてがドラマであるからです。ドラマでは「何かしらの時代考証」を行いますが、使用した資料・映像が同一ならば、描写も同じになりかねません。それに、例えばですが、『Upstairs Downstairs』でその描写をしていたから、『名探偵ポワロ』でもそうした可能性もあるのです。

さすがにイギリス本国なので正しいと思いますが。

それにしても共通する描写は、「アイロンで焦がしてしまう」ところでしょうか。

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