制作日記

2003/12/31(水)

いよいよ今年も終わりとなります。今年は同人活動をしていて、いろいろな経験を積めました。来年で一般参加から十年ぐらい、サークル参加が四年目となりますので、これまでを振り返ってみようと思います。

まず同人活動を本格的に始めたのは大学卒業後からです。『ヴィクトリア朝の暮らし』は構想の始まりが2000年初頭、初めての刊行が2001年になります。その当時は十分な資料読解が出来ておらず、今振り返ると、手直ししたい箇所ばかりですが、友人の協力もあって、勢いで作り上げました。

2001年の冬コミから申し込みを始めましたが落選し、イラストを描いてくださった蓮野さんの友人のサークルに委託で置かせていただきました。ジャンルがまったく異なることもあり、最初のイベント頒布実績は「5部」でした。その頃に買って下さった方が、今も読んでくださっていればいいなぁと思います。

2002年夏は「自サークルで売りたい!」と思いましたが、ここでも落選しました。しかし、友人の「竹脇」で委託させてもらい、TRPGというジャンルながらも手応えを感じ、「作った内容は間違っていない」と、続刊制作への気持ちを高めました。

そして、「もしかすると申し込みジャンルが違う?」と考え直しました。それまで「歴史」で申し込んでいましたが、カタログを見ると、資料本を売っているサークルは、「創作少年」でした。

2002年冬にようやく「創作少年・メイド」で申し込み、初めてのサークル参加が出来ました。ここでは初日に「竹脇」での委託も行ってもらえた効果もあり、1巻・2巻が完売すると言う、初めての経験も出来ました。

また、このときに、以前から資料本を買っていたサークルの『制服学部メイドさん学科』さんから新刊をいただけたことも、励みになりました。

今年になって、活動は大きく変化しました。前回の販売経験や『エマ』によるジャンル拡大の効果、それにジャンル内での自分の本の特異性などから、「もう少し部数を増やしても大丈夫?」と、夏コミは冬より多くの部数で臨みました。

また、この頃からスペースのレイアウトを考えるようになり、友人の協力を仰ぎ、ネットや他のサークルの置き方を学び、効果的な見せ方を試行錯誤するようになりました。

そして結果として1巻・2巻が完売、新刊もほぼ完売となり、「ジャンルの大きさ」を知るつもりが、底の深さをあらためて思い知らされました。そして、「メイドさんジャンル以外の人」に、手にとって貰える機会が増えたのも、夏からでした。

本の種類が増えてきたこともあり、他のイベントに参加してみようかなと、初めてオンリーイベントに出ました。自分の求める雰囲気を感じ、また丁寧な運営スタンスに思えたWhiteBrimさん主催の『SweetMaidGarden』を選び、幸いにも当選し、出ることが出来ました。

ここでは「生まれて初めて」尽くしでした。「初オンリー参加」「初メイド喫茶利用」、そして「過去最大の忙しさ」を体験しました。最初の一時間の凄まじい忙しさに呆然とし、ほとんど友人に頼りっぱなしでした。

オンリーイベントは「コミケで他ジャンルを見ている人も来てくれる」ということを教えてくれました。また、イベントの雰囲気の良さや、喜んでくれる人の気持ちから、冬コミの新刊に向けてのエネルギーを貰いました。

オンリーイベントでの予想外の売れ行きもあって、発行部数に悩みました。新刊だけ刷ればいいという形ではないので、常に一定の在庫は揃えておかないといけません。「これ以上刷ったら、趣味の範囲を超える」という印刷代に悩み、また「在庫の管理を出来るのか」とも苦しみました。

しかし、「ジャンルでの反響や、友人の協力でここまで来たから、とことん行ってみよう」と、今回の冬コミは前回の倍の搬入に踏み切りました。販売総数も新刊の発行部数、そしてほとんどの本の販売部数が、過去最大を記録しました。(過去最大の持ち帰りも記録し、初めて宅急便で自宅に送りましたが)

反面、当日は初めての在庫の多さに準備段階で戸惑い、それ以外でも周辺サークルさんにご迷惑をおかけしてしまいました。また在庫の揃え方や、今後の発行部数についても、今後の参考になるものを得られました。

今年は、「メイドジャンルだから買う」という人だけではなく、創作面や資料面、それに時代について、建物についてなどの関心から手に取ってくれる人が増えていったのを感じました。

冬の大きな変化は、「意外とコスプレをしている人が買ってくれる・目を通してくれる」ようになったことでしょうか? 初参加時はほとんどスペースで見かけませんでしたし、夏も少なかったと思いますが、今回は席にいながらにして、メイドさんを数多く拝見でき、内心で喜んでいました。

今年の記憶に残る大きなエピソードは、サークル参加で友人たちと会場に向かう途中の駅のホームで、ばったり大学時代の先輩に出会ったことです。不思議なもので、卒業後に一度お会いしたのが3年前のコミケ会場、さらに二度目の再会が共に「サークル参加として向かう途中」とは……

先輩は同人誌を前回気に入って下さり、今回も来て下さいました。あの時、駅で出会っていたのは不思議な話ですが、同じようにオンリーイベントに出た結果、そこで本同人誌を知ってくださった方もおりましたから、どこで何がどう繋がっているのか、わかりません。

来年は創作オンリーの『コミティア』に初めて参加する予定です。そこでまたいろいろな方に手にとっていただけたら、と思います。「新刊はコミケ」「他のイベントではペーパー小説か資料+既刊補充」にしていきます。

創作時間を確保しながら、イベント参加をメインに活動を続けていくつもりですから、ネットはイベント告知や、創作日記や資料紹介を中心という、今年と変わらない、こんな状態でひっそりのんびり続けていきます。

毎回毎回、買って下さった方からかけていただいた言葉や内容は憶えているつもりですし、今後の励みとして、創作意欲になっています。本当に、ありがとうございます。
2003/12/30(火)

前日は22:30に就寝しようと床についたものの眠れず、結局、深夜ラジオを聞いて、その後に深夜の映画『ユーガッタメイル』を途中まで見て、出発しました。

なんとなく「眠れないだろうな」という予感はしたので、寝転がりながら目を瞑り、身体を休めてはいましたが……遠足の前の子供より情けない、「自宅・ひとり徹夜組(?)」でした。

とはいえ、会場に入ってから今の時間まで無事に過ごすことが出来ました。買っていただいた皆様、本を手にとって下さった方々には心より感謝しております。その上で、何かしらの参考になり、関心を持っていただければ、幸いです。

また既刊をお持ちの方など、リピーター(常連?)の方からも温かいお言葉を数多くいただけましてこと、今年最後の最も嬉しい経験になりました。

サークル側の視点として、2巻は予想通り、数が少なかったので完売となりました。2月のコミティアか、8月のコミケなどに当選するか、それ以外でも都合がつけば他のイベントに出ますので、そのときには告知をします。

その時にはまた全巻を揃えますので、ご購読いただければと思います。

一応今回の参加で、今までに経験した「部数少なさゆえに、最後の方では入手しにくい環境」に対して、どのような持込をしていくかの目処が立ちました。今回の経験を次回以降に活かせたら、そしてその機会があることを願っております。

今年は同人誌作成の方法や内容についての手応えを感じ、またイベントでも好評を得られたことなど、同人活動を始めてから最良の一年となりました。リズムを忘れないよう、そして初心を忘れないよう、頑張ります。

短編集は本にせずとも、ネット公開でもいいかなと思うので、とりあえず年始から少しずつ資料の読解を始めつつ、2004夏コミ用『Victorian Life Style Vol.2』と、冬コミ用4巻『メイドさん(料理系)』に向け、少しずつ構想を練っていきます。在庫管理もありますので、新刊はやはり年二冊が限界かなと……イベントでの同人誌を第一に、今後も活動していきます。

繰り返しとなりますが、本日はありがとうございました。

それでは、よいお年を。
2003/12/28(日)

今日は天気が良かったこともあり、久々に交通手段としてゆりかもめを使いました。さすがに午後入場だと、台場で降りる比率が高いだけです。以前経験したあのすし詰めとは違って、のんびり景色を楽しみました。富士山も三箇所で見られたので、大満足です。

友人の「竹脇」に行く為、西館に向かいましたが、あの脆弱なエスカレーターが動いていたのを見て、これまた珍しいと感心しました。このところ東が続いていたので、西はやや狭く感じました。天井が低いこと、天井に窓が無くて光が弱いなど、それらも理由なのでしょうか?

幸いにも『ヴィクトリア朝の暮らし』1巻の委託分は完売しました。TRPG・電源不要ジャンルの「竹脇」への委託は、ジャンルが微妙(と言っても、根底はTRPGプレイヤーのバイブル『コレクション』シリーズへのオマージュなので、合致していますが、知らない人の方がもう多いのでしょうか?)なのですが、毎回、好評なようで、良かったです。

「2巻以降が無いのか」と質問してくださった方もおられたようですが、そろそろ冊数が増え、スペースを取りすぎること(既刊3冊)、「2巻が不足」(3日目の自分のスペースの数を用意したい)事情で、今回は1巻のみでした。

2巻以外の、外伝1と新刊3巻は多分無くならないと思うので、3日目に入手していただければ幸いです。

『エマ ヴィクトリアン・ガイド』と重なっていないところがほとんどなので、あれを読んでいる人にとっても、密度の高い内容が届けられると思います。

いよいよ、明後日が自分にとっての本番、年内の集大成です。
2003/12/27(土)

『エヴァ2』は、綾波レイで遊んでいたところ、碇ゲンドウにいきなりキスされたことにショックを受け、遠ざかっています。ゲンドウ、そうだったの……?

病み上がりぐらいから少し、『テイルズ・オブ・デスティニ―2』をやっていますが、このファンタジーにも、メイドさんが出てきてびっくりしました。「エプロンドレス」なんて装備品までありました……今のところ、巨大な竜の背中の上にいます。

戦闘は自分よりも遥かに巧いオート任せですが(涙)

いよいよ明日からコミケです。今日は値段リストを作ったり、サンプル誌に貼る値札を作ったり、それなりに作業が残っていました。明日は前に書きましたが、友人のところに『Wizardry』で小説を書いている&委託をお願いしているので、そこに行きます。

昨日は深夜にいきなり「雹」か「みぞれ」が降ってきて驚きましたが、今日の昼は晴天。明日以降も大丈夫だと願っています。確か去年の冬は寒かったような……今年は結局、前日搬入で足を運ぶので、有明には3日連続で行くことになりましたから、風邪には気をつけます。
2003/12/26(金)

『神聖モテモテ王国』、再開していました。何事も無く、以前と同じように、(或いは自分が成長していない?)、内容は相変わらずです。『モモ王』読みたさで、数年ぶりに『ヤングサンデー』を買いましたが、今後は立ち読みになります。

連載中の作品を『闇のイージス』以外は知らないので、雑誌を買う意味がありません……新規参入するつもりになれない、という感じですね。

前回日記で、コミケ前に風邪を引かないように気をつけようと書きましたが、書いた時点で風邪を引いていたようです。翌日から、ぐったりダウンしていました。薬の効果でようやく今日になって落ち着きましたが、まだ声が出にくいです。

あとはぶり返さないように、帰宅したら手洗いとうがい、早く寝る習慣を続けようかと思います。とかいいながら、明後日のコミケには、友人の手伝いで会場に行くのですが。

さて、今まで同人誌に出てきた登場人物のリストを作りながら、「屋敷に勤めている人数」のおおよその設定を考えました。参考にしたのは『英国カントリーハウス物語』で紹介された『ポートランド公の屋敷ウェルブルック・アビー』です。

公爵付近侍	2
侯爵付近侍	1
公爵夫人付侍女	2		
侯爵令嬢付侍女	1		
ガヴァネス	1		
執事	1		副執事	3
			執事付従僕	2
			従僕	6
			従僕見習	3
			雑役	6
ハウスキーパー	1	スティルルームメイド	3
			パーラーメイド	3
			チェインバーメイド	2
			ハウスメイド	18
ナース	1		ナースメイド	4
コック	1		キッチンメイド	14
			スカラリーメイド	4
ラウンドレス	1	ランドリー	8
庭師長	1		庭師	30
厩舎長	1		御者	4
			馬丁	20
			騎手	4
			ゲームキーパー	10
			ゲートキーパー	4

ちょっと表にするのが面倒なので、こんな感じですが、これだけの人数を抱えているとなると、かなり広い屋敷です。「本館」だけではなく、幾つかの棟から成っている屋敷になるのでしょう。迷子になってもおかしくない、というところです。

今にして思うと、1巻で「ジョアンを出迎える使用人一同の光景」は、ちょっとわかっていない時期に書いていますので、やり過ぎました。「こんなシーンがいいなぁ」と当時は思っていたのですが、使用人は控えめと言うのか、目に触れない方が望ましいですから、総出でお出迎えは無理がありますね。

こんなふうに人数設定はしたものの、全部は書ききれません。中規模のある会社の社長から新入社員全員を描くようなものです。存在はしていますが、語られるのは主要なキャラクターたちです。

これだけ人数が居ると、中間管理職や、マネージャーの補佐的立場も重要になってきます。執事の補佐役にいる副執事は、アルコールの管理や、従僕のマネージメントなどで分担しているはずです。

ナースメイドは『ダーバヴィル公爵家』の子供たちが育ちきっているので、今現在、もっと少ないです。どちらかというと、使用人たちの「保健の先生」ですね。

キッチンスタッフは、主人たちの食事の為ではなく、使用人の大量の食事を準備する為にこれだけの数が必要な気がします。前にも書きましたが、「主人」「上級使用人」「使用人」「子供」「キッチンスタッフ」と、大きな屋敷では五種類の食事が必要になりえました。パーティが開催されれば勿論、主人たちの為の仕事がメインにもなるのですが、仕事量を考えると、これだけいても不思議は無いです。

それ以外で、領地内の畑を管理し、労働者を雇い入れる領地管理者として、ランド・スチュワードと、そのスタッフもいなければなりません。一巻で畑を耕す光景を出しましたが、屋敷とは少し離れたところに、倉庫や農耕具を管理しているオフィスがある設定で、そこに管理者がいます。

『小公子』で、小作人の為にセドリックが手紙を書きましたが、その相手のこそ、小作人管理者、ランド・スチュワードだったと思います。

とりあえず、今までに書いてきた使用人と主要人物を中心に、舞台設定を考え、穴を埋めていきます。このペースで行くと、2月のコミティアは無理ですが、8月の新刊は「短編+幾つかの翻訳」になると思います。

おまけですが、来年正月のNHK海外ドラマ(『小公子』や『高慢と偏見』を放送したこともある)は、『レ・ミゼラブル』です。これは昨年か一昨年、BSで放送していたもので、かなり綺麗な時代劇でした。メイドも出てきたと思いますが、舞台がフランスなので、よく憶えていません。
2003/12/22(月)

忘年会の時に聞いたのですが、今週発売予定の『ヤングサンデー』で、かつて『週刊少年サンデー』で連載していた、モモ王こと、『神聖モテモテ王国』というマンガが再開するらしいとか。

打ち切りなのか、作者都合なのか、一切の説明も無く、突然連載が終わった作品ですが、刊行されたコミックスを見ても、終了したコミックスにつく「全〜巻」という表示もありませんでした。なので、再開は嬉しいです。

かなり馬鹿な内容で、電波系文章とか劇中劇が面白かったです。突然主題歌が書かれていたり、よくわからないあらすじがあったり……楽しみです。

メイド探偵の2巻『サンドリンガム館の死体』は、前巻よりもミステリ色が強く、かなり凝った内容で満足できました。物語として、主人公の話の進め方があまりにも探偵過ぎるのが、難点です。

会話が説明的過ぎる、情報を話し過ぎる、相手の反応が似ている、というのでしょうか。それは書く側として、自分自身、ものすごく意識しなければならない点です。自分自身は「物語」を書いているつもりでも、あらすじや説明になっていないか……

今回はカントリーハウスが舞台で、狩猟の場面も出てきます。前回よりミスリードが巧く、メイドの仕事を丹念に追いかける描写は1巻同様、ものすごいです。どちらかというと、日本人よりも、英国王室文化が好きな、英国と関連する国家の人向けなのでしょうね。

かなり寒くなっているので、コミケ前に風邪を引かないようにしたいです。

あと、「コミティア」の申し込みを行いました。ジャンルは「文章」になります。当落結果が出てから、再度、告知します。

気が乗れば、今回の解説本に掲載した形式になる、2〜3ページ(だいたい原稿用紙10枚程度)での超短編を、10本ぐらい掲載した短編集を作ります。思ったよりも本編の話が進んでいないこと、それに短編技術の向上を目指して、です。今回の創作のリズムを忘れたくないなぁというのも、大きな理由です。

メイドジャンルで、小説オンリー本を作ったことは無いので、作ったとしても部数は少なめにします。それよりも蓮野さんにまず、イラストを頼まないと駄目ですね。まずはネタを明日の休みに考え、行けそうだったら、表紙だけでもお願いするつもりです。

『ヴィクトリア朝の暮らし』『Victorian Life Style』『ヴィクトリア朝の暮らし補遺』と来ているのですが、タイトルは未定です。イベントに当選していたら、ですが。
2003/12/21(日)

昨日は忘年会で新宿に足を運びましたが、そこで募金活動を行っていました。年末になると、「救世軍」の社会鍋が登場します。三脚と言うのか、そこに鍋をぶら下げた軍服姿の人を、ご覧になったことがあるでしょうか? それが「救世軍」です。

「救世軍」はウィリアム・ブースという人によって始められたものです。かつて学んだ日本史では、山川出版社の用語辞典に廃娼運動の推進者として出たと思います。古本屋でお馴染みの神保町の、集英社や小学館のある通りの並びに、日本の本部があったと思いますし、街中で軍服姿の人を見て、焦った記憶があります。

ヴィクトリア朝期にこの人は活動しましたが、同時期にロンドン都市部の貧困状態の調査『ロンドン民衆の生活と貧困』を記したのは、チャールズ・ブースです。時々、自分は混同してしまうのですが……

さて、忘年会の時に話して、今回も、1日目のTRPG(電源不要)のサークル『竹脇』(海野氏主宰)に委託して貰うことになりました。

2003/12/28(日) 1日目 西1 に20a

ただ、2巻が他の本に比べて少なく、自分の3日目に十分な数が揃えられないと本末転倒になります。そこで多く刷っていて、かつ新規の人向けに1巻のみ、置かせてもらうことになりました。

かなり搬入で送ってしまったので、1巻の委託数は手元に残った18冊ぐらいになると思います。

また、当日『竹脇』で扱う新刊に、『Wizardry』の小説を寄稿しています。TRPGの世界を旅するガイド本で、『ロードス島戦記』と『Wizardry』中心本という、自分たちにとって(いろいろな意味で)思い入れのある作品を、各自の視点で扱っています。

TRPG制作集団の『グループSNE』が最初に作ったTRPGは『Wizardry』です。最も売れた『ロードス島戦記』、このアニメや小説もTRPGが元になっています。ある意味、自分たちにとっての、TRPG活動の原点、そして黄金時代を扱ったものになります。

手にとっていただければ幸いです。

何気なく、『Wiz』と出会ってから15年以上が過ぎていながら、創作は初めてです。中学の頃、知り合って間もない友人から『隣り合わせの灰と青春』(ベニー松山氏の作品)を教えられました。一読して、自分も迷わず書籍を買ったことで、TRPGや『Wiz』の世界にのめりこみました。

中学はTRPGの始まりの場として、あまりにも環境に恵まれました。そうした初心を思い出せる本であったらいいなと、思います。

メイド関連読書は、ふと「あ、そう言えば本を借りていたっけ」と、『エマ ヴィクトリアン・ガイド』の読書コーナーで紹介された『女王陛下のメイド探偵ジェイン』1巻を読みました。

舞台はダイアナ妃も出てくる1990年代イギリス女王陛下の宮殿で、メイドのジェインは「現代人」です。その点は拍子抜けしましたが、使用人の仕事の多さや内容は相変わらずで、多分、現代人がヴィクトリア朝で働いても、こんな感想を抱くのかなという点で、面白いです。

ミステリとしては驚きや恐怖もほとんど無いと思います。「怖がらせるべき」ところで、仕掛けも何も無かったり、緊張感は少ないです。「宮殿と言う舞台」「女王陛下のメイド」という視点での、宮中活劇というのでしょうか?

あくまでも雰囲気優先というのか、宮中を散歩しているような、女王陛下の下で働いている気持ちになれる本だと思いますが、王室スキャンダルや貴族の雰囲気を好きな人で無いと、深く引き込まれないようにも感じました。
2003/12/19(金)

『ローマ人の物語』12巻を読了しました。今回は皇帝が乱立する巻なので、作者の塩野さんがとても大変そうでした。刊行がややいつもより早い感じがしたのも、「早くこの宿題を終わらせたい」との気持ちなんでしょうか?

何か事業を起こそうとすると暗殺され、次から次に、消えていきます。政策の一貫性を失うというのも、どこか現代日本を連想させました。相変わらず、皇帝の名前は覚えられませんが。

このところメイドさん関係の資料は何も読んでいません。春先に、とある創作大賞の募集があるので、そこに向けて短編を幾つか書こうと思い、ちょこちょこネタとキャラクターを練っています。

さて、今回からテーブルクロスを新しくします。この前、友人たちと一緒に買いに行き、そこで布の素材について勉強しました。

『若草物語』でメグが「モスリン」の布を買って、自分で服を作るシーンがあります。その「モスリン」、現代では異常に安いのです。

ずっと高級感のある布をイメージしていたのですが、当時はどうだったのでしょうか? もしも安かったならば、メグの健気さに涙です。布の価値も、現在と過去とでは違うので、中々判断するのが難しいですね。

テーブルクロスの素材として、ビロードやベルベットに憧れを抱きましたものの、あまりにも高額で、諦めました。「そう言えばメイドさんの服の布地になっていたっけ」という、オックスフォード地の生地となりました。

『英国ヴィクトリア朝のキッチン』に出ていた知識ですが、その中では「素材の種類は不明」と書かれています。買った布は綿製品です。シャツなどで使われているので、ご存知の方も多いと思います。

本の記事から考えると、当時は綿以外の素材を使っていたのでしょうか? ウール、麻が考えられますが、どんな物だったのでしょうか。

布地は友人たちが選びましたから、その点の知識は無かったはずなので、何とも不思議な感じです。さらに彼らが選んだ色合いには秘密があるのですが、当日が終わってから、書こうと思います。

正解の方には何かプレゼントでもあればいいんですが、特に何も無いです。しかし、答えを書いてくださり、正解があれば、友人が嬉しがります。

段々とテーブル上の細かいレイアウトにこだわるようになってきているなぁと、いう感じですね。さすがにそろそろ、慣れてきたのでしょう。買ってきた布地もサークルの友人に、整えてもらいました。

コミケ開幕まであと十日を切りました。
2003/12/15(月)

刷り上った本を複数の友人に見てもらいました。内容そのものを毀損するものではないので、「致命的ではない」「告知の紙を挟めばいいのでは?」との言葉を貰い、その方向で対応します。

あとは、そろそろレイアウトに気を遣いたいですね……課題でありながらもかなり放置しましたが、今回は予想より空白や目を休める部分が少なく、辞典的です。それに箸休め用のデフォルメイラストの依頼を忘れ、その上、資料もそんなに作れませんでした。

次回は今回と構成や作り方は同じになるので、少なくとも読みやすさの面で、もう少し、研究しようと思います。今よりも『いい物』を作るとなると、イラストを描ける人や、デザイナーの手助けが欲しいですね。

来年2月の『コミティア』はメイドジャンルが不明なので、『文章サークル』で申し込むつもりです。参加を考えると在庫も残っていた方がいいかなと思い、コミケに持っていく数を絞るつもりでした。

しかし友人から「持っているすべてを持っていっていいのでは? 持っていながらも、その場で買ってもらえないのは勿体無い」と助言され、手持ちのほとんど(95%)を今回の冬コミに搬入することにしました。今回は増刷しなかった2巻が少なめですが、目標である「終了時間まで、本が買える」はずです。

毎度毎度、限界を探りながら持ち込み、その度に数を増やしていますが、今回は過去最大数持ち込みます。万が一、完売した場合はご容赦ください。前回の様子からすると大丈夫とは思います。

さて、今回は前回と異なり、宅急便搬入の申し込みは無事に終わりました。日本通運に電話で予約して荷物を取りに来てもらったのですが、電子化(死語?)されていました。端末で金額を出し、デジタル印字されたシールをその場で発行してくれました。文明、恐るべしです。

先日は久々に図書館に行き、絶版書籍を見つけました。『ブライズヘッド再び』は戦後の首相・吉田茂の長男が翻訳したという代物で、驚きました。読み始めると止まらず、結局、映像を追い越し、わからなかった部分を知り、エンディングまでを辿り付きました。

まず、イタリアに行った時に出会った人がセバスチャンの父「マーチメイン侯爵」で、一緒に居た女性が愛人でした。カトリックの夫人は離婚を拒み、父親不在の状態が続いていたのです。

そして、長男が「ブライズヘッド伯爵(英国貴族が複数の貴族号を有する場合、長男には父の二番目の爵位を名乗る権利がある)」でした。

マーチメイン家はロンドン用の『マーチメイン・ハウス』と、地元にカースル・ブライズヘッドを領有して、尚且つ、父親がイタリアに滞在しているので、金銭的にも追い込まれているとの事でした。

主人公のチャールズが奥さんに冷たかったのは、先に奥さんが不倫をしていたからでした。また、中〜上流階級のチャールズが学生時代、年間で300ポンド以上を浪費した(この当時でもメイドさんの給与の10倍以上)というのも、驚きでした。1920年代とはいえ、貴族の子弟が大学で費やす金額はそれを超えるはずですから、恐ろしいです。

本は他に、ディケンズの『骨董屋 上・下』、『エマ ヴィクトリアン・ガイド』で紹介されたハヤカワの『メイド探偵モノ』2冊を見つけました。そして今日は『ローマ人の物語12』も購入し、またしても読書の日が来そうです。
2003/12/12(金)

新刊が届きましたが、ミス発覚です。今まで一度もなかったのですが、巻末付録で原稿の台紙を間違えました。

本来は巻末から「1・序文、2・翻訳上の注意、3・本文」なのですが、1・3・2と、順番が一箇所だけ、逆転していました。

ミスはそこだけでしたが、これはこちらの指示どおりなので、どうにもなりません。巻末付録は今回のおまけなので、ご諒承ください。訂正用の紙を刷り、当日は机で告知します。

一度、寝ているときに印刷所から電話があり、寝ぼけて電話を取ったのですが、もしかするとそれでしょうか? 失態です。

膝から力が抜けましたが、落ち込んでいてもしょうがないので、善後策を講じます。
2003/12/11(木)

いつのまにか、コミケ開催まで三週間を切りました。新刊は多分、明日家に届くと思います。

いつも、「受かるのはこれで最後」だと思って、活動していますので、今回は数が不足する1巻の増刷もするつもりです。新刊が増えた分、過去最大の持ち込み数になります。

『ヴィクトリアン・ガイド』効果で、需要が伸びて、ジャンルへの、ヴィクトリア朝全体への関心が高まっているのでしょうか? いろいろな書店に立ち寄りますが、『ヴィクトリアン・ガイド』は売り切れています。世間的にも高い評価を得ているのかもしれませんね。

ここ数日はヴィクトリア朝関連書は読まず、小島直記という「明治〜昭和の日本人の伝記も書く」作家の短編を読んでいたのですが、その中にチャーチルの屋敷の話が出てきました。作者の人がイギリスの宮殿を訪問した話もあり、英国貴族やお屋敷に追いかけられているような気もします。

入稿して一週間が経ちますが、次回作の準備をしたい気持ちと、果たして今回と同じものを作れるのかという不安な気持ちがあります。

レイアウトやイラストを含めた本としての完成度はまだ改善の余地がありますが、次は『英国ヴィクトリア朝のキッチン』『台所の文化史』など、きちんとした本の出ている「料理」を扱うメイドを題材とします。

とはいえ、今回の3巻を作るときも、「最も目が肥えているメイドというジャンル」だと不安になりましたが、なんとかなりました。少しずつ方向性を作りながら、冬コミのエネルギーを貰い、来年に向けてスタートしようと思います。

同じ物を見ても、同じ感じ方をするとも限りません。他人が作れば、他人という理由で、自分とは違う視点、違う魅力を描き出しています。それが、同人誌の面白さのひとつでしょうか。
2003/12/07(日)

『わたしたちが孤児だったころ』を読了しましたが、思ったより楽しめませんでした。冒頭で当時の雰囲気を感じましたが、段々と読むのが面倒になってくるような、先を知りたいと思えないストーリー・文体(翻訳ですが)でした。

あとがきには主人公がすべてを語っていない、行間を読んで欲しいとの言葉もありましたが、読み取れませんでした。読者失格ですね、はい。

DVD『ブライズヘッド再び』は佳境に入りました。

この辺りから主人公が、セバスチャンの妹ジュリアに移行します。彼女は恋人で女たらしの実業家?アレックスの浮気現場を目撃しながら、結局、結婚しようと意志を固めます。

細かい話は聞き取れないのでわからないのですが、このアレックスはカトリック教徒ではないので、結婚の為に、ジュリアの家の宗教に合わせる形で、改宗します。

うまくいっていたところに、マーチメイン卿(ジュリアとセバスチャンの兄)が、「アレックスは過去に結婚し、離婚していた」事実を突き止めます。その女性との「死別」ではない離婚なので、カトリックでの再婚は認められない(はずです、かつて『名探偵ポワロ』で得た知識ですが)、という流れになってしまいます。

結局、ふたりはマーチメイン家から祝福されず、プロテスタントとして結婚します。

その頃、セバスチャンはモロッコに滞在し、アルコール中毒で入院していました。そこをチャールズが迎えに行き、国に戻そうとしたのも、彼の母が亡くなりそうだったからです。

結局、どうなったのかわからないままに時間が流れ、チャールズは絵描きとして世界を放浪して生きつつも、結婚していました。しかしチャールズが非常に冷たいので妻との関係は悪く、アメリカから英国へ帰る途上の豪華客船でジュリアに出会います。

ジュリアとアレックスとの関係も失敗しており、ふたりは不倫関係になります。その上、チャールズは行方不明、というところで話は佳境に入ります。

今回の目玉は、「豪華客船」の内部です。さすがに『タイタニック』には負けるかもしれませんが(見ていないのでわかりません)、物凄い立派で、船室内も見事な物でした。

また、セバスチャンを捜しに行ったモロッコ・カサブランカの雰囲気は素晴らしく、『インディ・ジョーンズ』や『アラビアのロレンス』、クリスティの作品を思い起こさせる、欧米人の好きな「砂漠・アラビアの雰囲気」でした。

今まで隠していたのか、と思えるぐらい、メイドさんらしい人は姿を見せ始めました。寝室で朝食を済ませるジュリアの世話をするメイド(エプロン無し・黒服)や、母の看護をする老メイド(ナース?)。

イギリスに戻ったチャールズが開いた画廊で訪問客にお酒を提供するメイドだけが、それとわかる制服を着ていました。新しい様式のものでしたが。

早く原作(ちくま文庫の絶版)を見つけたいものです。
2003/12/06(土)

今日はカタログを買ってきました。マンレポがやけに短いというのか、前回よりも読み応えが無かったような気がしますが、どんなもんなんでしょうか。

創作少年のメイドジャンルは夏よりも、若干、増えていました。ただ、「エマ」の同人誌サークルを捜しましたが、今のところ見つけていません。

スペースを見ていて珍しいところでは、『SweetMaidGarden』のスタッフさんが、『Whietbrim』の名前で、スペースを確保し、本を出すことでしょうか?

さて、久々に『エヴァ2』を遊びました。前回は第四使徒にあっさり街を壊され、地下での生活をしていましたが、その反省から、頑張りました。

人間関係のコツも掴み、シンジのAT(気分値)を平均90以上に高めるのに成功し、人間関係を良好にしました。イベントのある戦闘でも、危地に追い込まれないように戦い、「零号機ロスト」を避け、「S2機関の取り込み」も無く、第三新東京市も守り抜き、完璧に進めましたが、結果は同じでした……

むしろ、一度目よりも秘密に遠ざかったというのか、加持さんが出てきませんでしたので、セントラルドグマにも行けません。カヲルくんにも会えません。シナリオ中でも人間関係に腐心し、秘密を探る活動をしなかったのが敗因でしょうか?

なので、セーブした途中の7話ぐらいから、使徒に街を壊してもらおうかなと思います。

あとは、イギリスの貴族&カントリーハウスのドラマ『ブライズヘッド再び』も3話ぐらい進めて見ました。相変わらず英語はほとんど聞き取れませんが、マーチメイン卿の息子セバスチャンがアル中になり、事件を起こし、友人を傷つけ、家族からも心が遠ざかり、大学から実家の館に戻らされてしまいました。

主人公のチャールズは友人のサポートをしつつも、パリに留学と、生活の変化が訪れます。

年末年始に訪れた屋敷では「狐狩り?」らしきイベントがあり、犬と馬がいっぱい出てきます。

細かいところでは、従僕はセバスチャンを「My Load」と呼んでいました。さらに屋敷「ブライズヘッド」では石炭ではなく、薪を焚いていました。英国は木材が不足していたので、石炭を使っていましたから、薪を使える人は真の金持ちです。セットを汚してはいけないので、薪にしたのではと邪推していますが。

あと、祖母だと思っていた人は、「Nunny」と呼ばれていたので、長い奉公の報酬として、屋敷の一隅に住むのを許された人なのでしょう。結構、狭い部屋だったので「変だなぁ」とは思っていましたが、一話目で聞き取れという感じですね、はい。

貴族の息子の大学での放蕩生活ぶり、そしてディナーの様子や、友人との付き合い方など、かなり映像が綺麗で、興味深いです。セバスチャンは自分の寮の部屋で、何度も十人程度を招いて、ディナーを主催していました。

自分は誤解していましたが、映像のセットが「カースル・ハワード」なだけで、作者のイブリン・ウォーがモデルにしたらしいのは、『英国カントリーハウス物語』によると、「ストナー・パーク」のストナー家だそうです。

マーチメイン卿は英国国教会ではなく、カトリックであり、それがストナー家の歴史に重なる、とのことでした。ドラマの中では宗教談義が出てきていますが、何がなんだかさっぱりわかりませんでした。字幕が切実に欲しいです……

メイドさん要素は今のところ、ゼロです。1930年代ぐらいだと思うのですが、屋敷でのディナーの給仕は執事+男性使用人3人で、女性使用人の姿がありませんでした。
2003/12/05(金)

欲しい本・読みたい本が絶版になっているということがよくありますが、先日は新潮文庫版のドストエフスキー『未成年』を見つけました。以前日記にも書きましたが、この小説は「未完成」ゆえに、絶版になっています。筆者が登場人物を間違えたり、あちこちに小説としての未完成があるとか……

読みたかったのですが、3000円(定価の2〜3倍)なので諦めました。他にハーディの『日陰者ジュード』も2400円で売っていました。これも読みたかったのですが……文庫にこの値段が少し、厳しいです。

結局、古本屋で買ったのは『ヴィクトリア女王の娘』という本です。ドイツのウィルヘルム二世の母となった、ヴィクトリア女王の長女と、女王との書簡だそうです。

あと、読まなくなった本を処分する為に整理していたら、田中芳樹の『カルパチア綺想曲』が出てきました。読んでみると、舞台がヴィクトリア朝期のイギリス(+オーストリア=ハンガリー二重帝国)でした。こんなふうに、ヴィクトリア朝に関心を持つ前に読んだ本の中身は、忘れているんだろうなぁと思います。
2003/12/03(水)

ようやく、入稿が終わりました。あとは宅急便搬入や直接搬入、それにテーブルクロスを買うぐらいでしょうか? 何にせよ、気持ちの休まる時が来ました。

来年は、2月のコミティアからイベント参加をする予定です。『SweetMaidGarden』の2回目がもしも開催されれば、そこにも参加したいですね。とりあえず、しばらくは「コミケ+コミティア+α」という感じで、活動していくつもりです。

とはいえ、参加機会が増えたからといって、刊行する本が増えるということも無いです。作る周期は年2冊が限界です。

ただ、今回の3巻で「限界まで出し尽くした」ので、超回復しなければ、燃え尽き症候群のままになってしまうでしょう。夏コミが終わってから根を詰めた部分もあるので、のんびり休みます。

癒しというか、筆休めというのか、気分転換に現代物の創作でもします。『ブライズヘッド再び』もまだ見終わっていませんし、来週13日には『ローマ人の物語』最新刊も出ます。

最近は読書強化週間で、ジョージ・エリオットの『サイラス・マーナー』とカズオ・イシグロ『私たちが孤児だった頃』を読んでいます。

前者はヴィクトリア朝期の作家の本で、名前はジョージですが、女性作家のペンネームです。友に裏切られ、守銭奴になった男の身に訪れる、ティケンズ的な話です。地主のスクワイヤーが出てきます。

後者は『日の名残り』の作者の作品で、第一次大戦後の上海とロンドンを舞台にした探偵小説です。まだ最初の方しか読んでいませんが。

あとは、『ガンダムZZ』や『女神転生』のイラストやキャラデザインでお馴染みの、北爪宏幸さんの描いているガンダムのコミックスを買いました。書店で名前を見た瞬間買いましたが……美樹本晴彦氏と同じ絵のクオリティを期待していたのは、間違いだったのでしょうか? でも画集は買いそうです。
2003/12/02(火)

あっと言う間に12月です。今年の冬コミは印刷所の直接搬入も使ってみようということで、前日搬入作業の「立ち会い用の札」を申請し、今日届きました。12/06にはカタログも発売され、いよいよ近づいています。

入稿は諸般の都合により、明日になります。蓮野さんより絵をいただきましたが、プリント地のイラストは頼み忘れていました……今回はハウスメイド、オフの服、パーラーメイドの3枚と、裏表紙を描いて貰いました。

さて、『サハラに舞う羽根』か『リーグ・オブ・レジェンド』のどちらかを劇場で見た時に、トルストイの『復活』の予告編を見ました。その『復活』の公開が始まっていたので、この前、行きました。

予告編で聞いた曲はショパンの『英雄』でした。

時代は1899年か1900年、ロシアの貴族ドミトリィが陪審員として参加した裁判で、昔、彼が恋した女性カチューシャに出会います。その裁判とは「娼婦による毒殺事件」でした。

主人公は若い頃、革命思想を持ち、論文を書き上げるために二人の伯母がいる屋敷に来ます。そこで彼は伯母たちが拾った孤児の子カチューシャと出会います。カチューシャは屋敷で教育を受けつつ、メイドとしても働いていたのです。

ここで主人公はカチューシャに恋をして、欲望のままに犯し、(トルストイは伯爵で、農奴の女性たちに手を出していましたので、実体験でしょう)、彼女にお金を渡して逃げてしまいます。

それから彼女は娼婦に変わり果て、主人公の贖罪、魂の復活が始まるのですが、難しい話はさておき、素晴らしいスケールの「上流階級映画」です。出てくる屋敷の美しさと、残されたロシアの街並みは「ロシアスキー」でなくても、楽しめます。

また、特にメイドを意識せずに見に行ったのですが、この映画では上流階級の生活が描かれていたので、いっぱい出てきます。カチューシャもメイド、ペテルブルグの主人公の身の回りを世話するのもメイド、伯母の家にもメイド……

『サハラに舞う羽根』のメイドさん登場シーンは1カットですが、『復活』はもっと出てきます。なのでメイドスキーな人も楽しめるのではないでしょうか。上映時間は「3時間以上」と長いですが、お尻も痛くなく、映画の世界に吸い込まれました。

しかし、主演はイタリア人、言葉もイタリア語、微妙に情熱的な民族魂が見え隠れしていました。

以前見たドストエフスキーの『白夜』の映画はイタリアの監督(ルキノ・ヴィスコンティ)が作りましたが、恥ずかしがり屋の主人公が「イタリア人にしては恥ずかしがり屋」なだけで、原作では考えられないほど女性を口説く姿に、愕然としましたものです。

また、『スターリングラード』も感情表現があまりにもアメリカ的で、かなり辟易しました。

『復活』は映画好き、19世紀好き、メイド好き、貴族好き、屋敷好き、或いはロシアスキーならば、オススメできます。今年見た時代映画の中では、かなり洗練された映画です。やはり、貴族だったトルストイが書けばこそ、上流階級の生活や使用人も当たり前に出てくるんでしょうね。

それにしても衝撃的だったのが、女性囚人がいる刑務所の部屋に、「子供」が一緒にいた点です。子供は何の説明も無く、親に付き従って、そのまま一緒にシベリアに行ってしまうのです。びびりました。

当時のロシア生活に関心ある方は、以前、ここで紹介した『19世紀ロシアの作家と生活』をオススメします。

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