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制作日記
2003/08/31(日)
今までに無いほど勤勉な更新日記ですが、夏コミの熱気が残っていると思ってください。さて、ちょうど1週間前に書いた英書の通販のうち、昨日、郵便で1冊が届きました。
『a Day in the Life of a Victorian Domestic Servant』と題した本の内容は、資料のところに追加しました(最下部です)。
内容はある中流階級の家庭で働くメイド(tweenies=between-maids)を主人公に、彼女の一日を描いた本です。
主人公のEllenはパーラーメイドとコックの下で、両方の仕事(料理と家政)を手伝います。それが『between』の由来です。 この他に、ナースや雑役夫もいますが、仕事のほとんどはEllenが手伝います。
起床と朝食、掃除、昼食、お茶の時間、夕食の準備、その給仕、後片付けと、一日の仕事が活写されています。
盗難騒動で解雇の危機があったり、意地の悪いパーラーメイドに実は秘密があったり、読み物としても面白く、あっさりと読めました。
最後に統計や資料をもとに概論が掲載されており、二度美味しい本になっています。
資料的にも物語的にも「当たり」の本でした。
最近は『デイジー・ミラー』(ヘンリー・ジェイムズ)を読みましたが、それ以外ではコミケ前に『陰摩羅鬼の瑕』を買いました。京極堂本作のシリーズでは初めて展開が読め、驚きは少なかったでしたが、「館」「貴族」「メイドさん」「執事」、様々な要素が揃っていました。
これはクリスティに始まる「カントリーハウス」モノへのオマージュ、なのでしょうか? それとも時流なのでしょうか? 冬コミの創作少年(メイドさん)ジャンルに、京極関係の本があるかもしれませんね。
といいますか、作りたいです……
2003/08/29(金)
ドストエフスキーが大好きなので、その物語の舞台の生活風景を知りたいと強く思っていましたが、日本語の本にはめぐり合えませんし、かといってロシアに手を出せるはずもありません。
ある意味、本同人誌もそうした時代への関心から生まれていますが、少し前に、『19世紀ロシアの作家と生活』という本を借りました。これが文庫ながら、非常にいい内容でした。
帝政ロシアの作家と彼らの時代の生活様式、貴族や農民、政治制度、身分社会、宗教、民家の様子など、知らないことばかりでした。
ドストエフスキーの作品では怪しげな貴族がよく出てきますが、ロシアは英国と異なり、「貴族の息子・娘は爵位を名乗れる」「相続は長子相続ではなく、全員でわける(=財産が分散し、貧乏な貴族が数多く生まれる)」そうです。あと、その本によれば、ロシアには公爵・伯爵・男爵があるものの、侯爵・子爵は無いそうです。
さらに、生まれながらに身分が決定し(階級移動はある)、農奴は財産であり、売り買いされたり、借金の方にされたり、おもむろにシベリア送りにされたりしたそうで、「財産扱い」された点で、ヴィクトリア朝期のイギリス貴族とは違っています。
本当によく整理されていて、この本と同じ構成のイギリスを扱った本があるのならば、読んでみたいです。
2003/08/26(火)
パーラーメイドの説明が概ね完成しました。
執事や男性使用人を雇えない階級が、「客や主人の目に触れるサービス」をさせる為にこのメイドを雇いました。仕事の中身はそれらと重なり、あまり面白みがありません。
そこで、『高慢と偏見』にインスピレーションを得て、パーラーメイドが当時の風習のひとつ、お屋敷ならではの仕事を担当していたとの仮定を立てて、小説部分を書くつもりです。そしてその仮定が正しいのか、今は実証の資料を集めている途上です。
なんとなく最近は作り方が学問っぽくなってきました。
資料を集め、読み込んで、実際の光景を想像し、「こうであってもおかしくはないのでは?」「この部分はふれられていないけど、どうなんだろう?」と疑問や仮定を立て、それを裏付ける資料を探す、という形になっています。
本書は資料本ですが、あくまでも「当時を見るときの、ひとつの見方」を提供するものに過ぎません。創作部分に関して「英国ヴィクトリア朝の忠実な再現」にこだわらなかったのも、雰囲気が面白そうであれば、事実と少し違ってもいいと思っているからです。
その分、資料・解説パートには気を遣い、なるべく「どの本のどこに出ていた」という情報源を明らかにするようにしています。『筆者(久我)の意見』なのか、『本に記載された意見』なのかをわかりやすくしている(していく)つもりです。
なるべく嘘を書きたくないというのと、「私が知っている事実と違うじゃないか」との意見に対して、「この本に出ていた」との、論拠を示す意味でも、文献の明示は必要であり、またこの本でふれた資料を直接読みたい人の為に、役立つものをと心がけています。
「意見より、事実をひとつでも多く」
事実には、好き嫌いがあまりありません。これが、本同人誌で気を配っている点であり、自分への戒めです。
2003/08/24(日)
制作日記は好調ですが、裏話といいますか、久我の描いていた今年の下半期予定とは違ったものになりました。
コミケ直前は「冬は新刊を作れそうもないし、休んで投稿用の小説を作ろう!」と思っていました。少し前に書いたライトノベルのアイデアやキャラクターが固まり、書けそうな勢いになっていたからです。
ところが、幸いなことにコミケの既刊も新刊も好評だったので、「これは年内に新刊を作りたいなぁ」と、思うようになりました。
自分では思いつかなかったことが他人の影響で、変わっていくのは、新しい視点が開かれるから結構好きです。友人と話したり付き合っていても、そういった、「自分では思いつかなかったことに出会う」楽しさがあります。
「面白そうだから飛び込んでしまえ」という心境です。折角なので枠組みを決めず、投稿小説のほうも、きちんと書こうと思います。
さて、同人誌のイラストは蓮野さんにお願いしています。自分で設定したキャラクターのイメージを伝えていましたが、こうして3年間、蓮野さんのキャラクターと付き合っていると、その影響を受け、文章を書くときのイメージがイラストに従ったものになります。これも文章を書くだけでは得られなかった、創作の楽しみ方のひとつです。
今回は冬用に、早めにイラストをお願いしました。イラストのメインは「パーラーメイド・いちばん見栄えがいい服(ロレッタ)」「ハウスメイド(アーヤ)・仕事用の制服」「通常の服:午後の服(レカミエ)」を予定しています。
表紙はアーヤか、ロレッタになります。表紙の紙色の系統としては、暖かい桃色か、使っていない緑系統でしょうか?
こんな感じで、楽しんでいます。
長いついでに、久々に資料収集癖(病気)が目覚めました。amazon.co.jpで買えなかったものを、アメリカのamazon.comと、イギリスのamazon.co.ukで探すことにしました。阿羅本さんの資料本の参考文献に出ていたものと、Pamela Horn氏の関連書籍をピックアップしました。
amazon.co.jpの新品の場合、「3〜6週間かかります」と言われながら、手元にも版元にも無い可能性が高いです。なので、「既に在庫がある古本」から買う機会が増えています。といいますか、そろそろ「一般的ではない英書」に手が伸びているので・・・・・・
古本での購読の場合、運が悪くなければ、サイトでの注文=入手に繋がります。多分、船便なので、新刊の作業が終わる頃に届くと思いますが、amazonの古本は料金徴収をamazonが代行するので、今のところ問題が起こっていません。
用心としてはなるべく、バイヤー(主に海外の古本屋)への反応(品物が届いたとき、コメントを送れます。その件数が表示されております)の件数が4桁以上のところを選ぶようにしています。それに来なくても諦められる金額での注文しかしません。
初利用のイギリスは手数料と送料で、本の5割り増しぐらい(船便がバイヤーによっては選べないので、高い飛行機便)になりかねませんが、定価の半額で買えるケースもあり、一概に得か損かはわかりません。
あとは新品で、DVD『ブライズヘッド再び』も買ってみようと計画中です。日本語吹き替えは当然ないと思いますが。今の悩みのひとつは、『Upstairs DownStairs』のDVDです。家のDVDで読み込める英国版では揃いが悪く、読めないアメリカ版ですと「ボックスでのセット」が出ています。どうにもこうにも、といった感じです。
日本語の本では、いまのところ『ロンドン〜ある都市の記録』と、『シャーロック・ホームズの料理読本』を買いました。前者は英書の翻訳で古本屋で見つけました。ロンドンの歴史を、そこに建てられた建物とその建築家、企画者を中心に説明していくという、珍しい本です。
ロンドンの地図や観光名所を理解していれば(久我はあまり理解していません)、非常に面白いと思います。どうしてカントリーハウスが郊外に移っていったのかの説明があったりしますので、参考になりました。
次の『シャーロック・ホームズの料理読本』は、ハドソン夫人が書いた料理本、という設定の本です。次回の「メイドさん(料理系)」の参考になるだろうと、入手しました。この本に出ている料理、作ってみたいですね。
最後に、7月に少し触れた『エマ』『シャーリー』中心で『創作メイド』もOKなオンリーイベント、『Sweet Maid Garden』(whitebrimさん主催)に、申し込んでみようと思います。募集に間に合い、正確に決まりましたら、再度、告知を行います。
コミケ以外は出たことが無いのですが、チャレンジしてきます。
2003/08/20(水)
コミケの後、数日が経過しましたが、かなり疲労が溜まっていたようで、足が痛かったり、眠りがやけに深かったり、日常に戻るまで時間がかかりそうです。
蓮野さんと話したのですが、「再版貧乏」という言葉があるそうですね。大部数刷ればそれだけ原価が安くなりますが、そうかといって刷れるものではなく、ぎりぎりのところで既刊の再版をして、それがまた売り切れると…という繰り返しだそうです。
蓮野さんがかなりイベントに参加されるようで、冬コミ用のイラストは早めにお願いしようと思います。今は熱気が続いているので、冬コミ用の新刊は作る予定でいます。
3巻『貴族と使用人(二)』 メイドさん編1(家政系)
(概論)
・メイドさん一般論(使用人詳細)
・メイドさんの労働環境
・スキルアップや転職
・制服
・賃金
(種類)
・パーラーメイド
・レディーズメイド
・ナースメイド
・チェインバーメイド
・ランドリーメイド
・ハウスメイド
だいたい、こんな感じです。元々は夏に出すぐらいのつもりでいたネタや資料もあるので、思ったよりは、難しくないかもしれません。あとは、どれだけ密度・純度を高くしていけるかになります。
2003/08/17(日)
家を出た頃には雨が止み、有明についたときには太陽さえ見えました。コミケにはまだ神通力があったようです。
初めての宅急便委託も、東3スペース内部にペリカン便スペースが出来ており(雨の為?)、また今日は印刷所からの直接搬入が多いのか、ほとんど荷物も無いようで、すぐに見つけて、スペースとの往復に五分もかかりませんでした。
2回目のコミケ参加となる今回、幸いにも前回以上の好反応を得られました。様々な分野へ関心を持つ方々(メイドさん、ドール、TRPG、カントリーハウス、当時のイギリス文学)に手にとっていただけたのも、また感想を直接いただけたのも、本当に嬉しかったです。
今日は手持ちの在庫(コミケ直前に再版)をあるだけ持っていきましたが、既刊の1巻・2巻で完売となってしまいました。個人的には嬉しいのですが、やはり手に入らず、新刊だけ、或いは去年の冬の2巻だけ手にしているという方のことを考えると、心苦しいものがあります。
創作と言うジャンルで、かつ部数的にどの程度刷ればいいのか未知数、尚且つ通信販売もせず、受かるか受からないかもわからないコミケのみでの活動という現在、在庫もあまり抱えられない状況で、「どかーん」と刷れません。
まずは次回予定の冬コミでは既刊を確実に再版し、根性があれば新刊の3巻を出します。この3巻はある意味で本同人誌の山場となるものなので、出来れば丁寧に、かつ最高の物をじっくり作りたいです。その辺りは、日記に進捗を書いていこうと思います。
小学生のように昨日はあまり眠れなかったので、今日はもう寝ます……
本日は本当に、ありがとうございました!
2003/08/15(金)
1日目は一般入場で、委託しているサークルに手伝いに出かけましたが、予想時刻(入場制限解除)よりも遥かに早く着きすぎて、混雑にぶつかりました……
「二度と並ばない」と数年前に決めた「東」に誤って並んでしまい、さらに雨も非常に強く、尚且つ周囲の人から傘をぶつけられる回数も多く、濡れ鼠といった感じでした。
1時間半ぐらい待ちましたので、さすがに疲れました……特に急がなくても良かったので、どこかで時間を潰して、制限がとけるまで待てばよかったのですが、「並ばないとコミケに参加した気にならない」との思いもあります。
委託していた本は、今回も予想より多い反応をいただき、完売しました。ありがとうございます。全軍出撃のつもりで、3日目の自分のサークルでは新刊と、今回売り切れていた既刊本を揃えるつもりですので、よろしくお願いします。
目印は、前回と同じボードになります。ボードはブロックナンバーを今回のものに書き換えます。(今回の画像は前回のまま)
明日はゆっくり休んで、明後日の準備をします。初めての宅急便搬入、成功していることを無事に願うのみです。
2003/08/12(火)
もう今週にコミケが始まります。今回も、海野氏主宰のサークル竹脇の原稿を書いていましたが、落ちてしまったそうです。
なので竹脇の方に新刊はありませんが、サイバーパンクTRPGの『SHADOWRUN』の短編小説をペーパーに載せています。金曜日の電源不要のTRPGジャンル、関心のある方は寄って見てください。ペーパーは無料です。
あと、例によって『ヴィクトリア朝の暮らし』の既刊を委託してもらっています。
久我は一般入場で、新刊を後で補充する役目でしたが、もう少しゆっくりの時間に行こうかなと思います。並ばないとコミケに参加した気になれませんが、かといって夏はあまり並びたくありません…
天気はどうなんでしょうかね?
2003/08/04(月)
ペリカン便に限らず、最近の宅急便は配送状況を教えてくれます。調べた結果(というよりもメール通知をネットで登録しました)、荷物は無事に、届いた模様です。
とりあえず、一安心です。
2003/08/03(日)
まだ参加2回目で、どれぐらいの人が来るのか、まったく数が読めません。前回は幸いにも多くの人に来ていただけましたが、「あれで最大なのか」「まだ増えるのか」、ジャンルとしての流れにも左右されるので、どうなるのか、悩みました。
最初は少しでいいかなと思いましたが、持ち込み数が多く、いっぱい残ったとしても、手に入らない人が出るよりはいいのかなと、マンレポを見て思いました。「こんなに売れ残った!」と傷つくのは、自分の気持ちだけですし、受かるのはもしかすると今回限りかも知れません。
今回は前回よりも搬入数を増やしますが、他にも理由があります。夏という季節、暑いです。手持ちには限界があります。なので、宅急便での搬入を考えました。
しかし、その決断をしたとき、印刷所からの直接搬入に必要な資料の取り寄せは終わっていました。そこで会場への宅急便で、行うことにしました。
初めての体験なのですが、コミケットアピールを読み、以下の道具を揃えました。
・近くのampmでペリカン便の伝票
・ダンボールに貼るピンクのB6サイズの画用紙(ジャンルと曜日、サークル名を記入)
→これは近くの100円ショップで。
・搬入用のダンボールは、印刷所から受け取ったその箱に
→防水仕様でもないので、本をビニール袋に詰める
上記の準備をしてから、ペリカン便に電話しました。これもマンレポのおかげで、あまり苦労無く、依頼出来ました。そして本日、荷物を取りにペリカン便の人が来ました。
伝票を受け取ってからしばらくした後、「引受日」「配達日」が記入されていないのに気づき、愕然としましたが、荷物は無事に辿り付くのでしょうか? 当日に荷物と会えること、切に願います。
それにしても、ひどく暑くなりました。コミケ前の予行演習だと思って、暑さになれるよう、日々を過ごそうと思います。
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