制作日記


2003/03/22(土)

『FF-X2』ができないので、連休は読書+映像観賞が続いています。『失われたときを求めて』の映画『見出されたとき』を入手しましたが、164分、非常に長いです。

構成が難しい小説をどのように映像化するのかと思いましたが、原作には無いけれど、あってもおかしくない描写を入れたり、個人的に好きだったジルベルトと主人公の関わりが多かったりで、「これ以上の映画化はしようがない」との感想でした。

シャルリュス男爵がジョン・マルコヴィッチだったことに愕然としましたが、それにしても映像の意味や登場人物の説明が無いので、原作を読まないと厳しいかと。アルベルチーヌとの関わりの辺りは、原作を読んだとき、生まれて初めて読みながら本を引き裂きたい衝動に駆られたほど、作者の描写に苛立ちを覚えました。

そうした「フラストレーション」があればこそ、最終巻の「つまづいたとき」の、流れゆく文章、純粋な感動が得られたのかと思えましたが、あれを映像化するのは難しく、今回、映像化されていましたが、どちらかというと、原作を知っている人のためのものなんでしょうし、逆に原作を読まなければ、あの作品を見ないのでしょうね。

それにしても、フランスの社交界、素晴らしすぎる衣装と屋敷です。メイドさんも何人か出ていましたが、もっと意地悪そうなおばさんをイメージしていた家のメイド「フランソワーズ」が、ふくよかで人がよさそうなおばさんで、ショックを受けました。セレストもいつのまにか主人公の家のメイドだったり…

ジルベルトはベアール、そして母のオデットがカトリーヌ・ドヌーブと、『8人の女たち』で共演したふたりで、そうした面でも面白かったです。

最近のヴィクトリア朝関係映画では、『カスターブリッジの市長』を原案にしたもの(西部劇にしているようですが)と、ギニーズ(グゥイネス)・パルトロー主演の『抱擁』でしょうか。なんにせよ綺麗な衣装、綺麗な屋敷、そして綺麗な女優には癒されます。

そんなこんなで、久々に同人誌の練りも始めました。予定通り進めば、新作は非料理系のメイドさんを扱います。

1:パーラーメイド
2:レディースメイド(侍女)
3:ナースメイド
4:チェインバーメイド
5:ランドリーメイド
6:ハウスメイド
7:メイドオブオールワーク

こんな感じです。今のところ、ランドリーとオールワーク以外は小説部分のネタが出来ており、情報収集と整理のため、『MrsBeetonの家政読本』と、『Rise and Fall of the Victorian Servant』を中心に読み直しています。

昔、読み落としていた箇所が非常に多く、メモをとりながら、辞書をちゃんと引きながらやっています。

純粋な使用人の資料ではないのですが、ジャック・ロンドンの岩波文庫『どんぞこの人々』を買いました。アメリカの作家ジャック・ロンドンが、イギリス・貧民街イーストエンドに飛び込んでいく当時のルポタージュなのですが、今までに読んだどの本よりも文章が面白く、視点も面白く、普通の読み物として、素直に読めます。


2003/03/18(火)

『FF-X』のグラフィックが綺麗だったので、PS2を購入し、いろいろと遊んでいたのが去年。今年、『FF-X2』を発売日に買い、会社から帰ると一時間ぐらいプレイしてお風呂に入りました。それから再開しようと、再起動しました。

すると、「ディスクの読み取りに失敗しました」を連発され、二度とプレイできませんでした…どうもレンズ関係の不具合らしいのですが、突然のことに呆然としました。それまで不具合らしいことは一度も無かったので。

何にせよ発売日に買ったゲームがわずか1時間で出来なくなると、頭が混乱するもので、『PS2』をもう一台買ってしまうかなんてことも考えましたが、置き場所も無いですし、しょぼんとして、修理に出しました。

その修理が迅速に終わり、丁寧なパッケージで昨日返ってきたのですが、喜びもつかの間、ディスクドライブが収まっておらず、イジェクトボタンを押してもドライブが途中で引っかかり、引き出せません。

直っていないどころか、違うところが壊れている! 怒髪天を衝き、すぐ送り返しましたが、サポートの電話はつながりにくく、どうにもこうにも、腹が立ちます。ここまで来ると、何かこう、ゲームをさせない意志が働いていそうです。

連休前に戻ってくればいいんですが、これはおとなしく読書をしろということでしょうか。

そういえばコミックス『エマ』の2巻が出ていました。さらに同じ作者の過去の作品、というメイドさんコミック『シャーリー』も出ており、エンターブレイン、攻めています。話としても背景も書き込んでいて、とても面白いです。

世界が狭いというか、「この描写はあの本を参考にしたのかな?」と思えるようなものも散見して、何にせよ読んでいて面白かったので、自分の方も創作意欲が湧きました。

とりあえず連休中に1作を書けたらいいなぐらいに思いつつ、資料の読解と構想を練ろうと思います。


2003/03/17(月)

半月ぐらい前に声優の井上遥さんが逝去されたそうで、ご冥福をお祈りします。セイラさんで有名ですが、自分にとって馴染み深いのは『機動警察パトレイバー』の「香貫花クランシー」でした。なかなか不思議な声質で、個性的な声が失われたのは寂しいことです。どこか懐かしい声だと思っていたら、十年ほど前に亡くなった伯母の声に似ていたからでした。

このところ制作は予告どおりしておりませんし、資料も読んでいませんが、読書や映画は進んでいます。かつて司馬遼太郎氏が好きな作家としてあげた「シュテファン・ツヴァイク」、その彼の『人類の星の時間』という作品を、読みあさっていた短編集のあとがきで見つけ、「読んでみよう」と、買いました。

Amazon.co.jpではなく、これは渋谷のBook-1で見つけました。レアな本を見つけたときの喜びは、かなり大きいもので、通販ではこの辺が味気ないですが、どちらにせよ、手に入らなければ意味がないので、一長一短です。

先の2月は映画の月でした。『8人の女たち』『K-19』『ストーカー』『少林サッカー』、それになぜだか不意に劇場版ドラえもんが見たくなり、『魔界大冒険』『宇宙小戦争』の2本、さらに以前にふれた『小間使の日記』も手に入れ、鑑賞しました。テレビで放映している映画も、ソフィー・マルソーが見たくて『007』、ジャッキーが見たくて『Who am I』で9本です。

関連する『小間使の日記』は別に感想を書きますが、やはり白黒を見るのはなかなか難しいです。

どこかの映画館で、トマス・ハーディの『カスター(キャスター)ブリッジの市長』を原案にした映画の予告編を見ました。日本でBBC制作のドラマをDVD化しているIVCというところの商品に、そのままの『カスターブリッジの市長』がありますが、それも未視聴でしたので、関心を持ちました。

幸いにも、この映画化によって、原作が本になって出ていました。ハーディの本は『テス』『短編集』以外は、ほとんどが絶版になっており、かろうじて岩波で再版されたある本(記憶にありませんが)は、「昔のフォント=すさまじく読みにくい」「昔の翻訳=読みにくい」、今の読者を無視した「手抜き」が頭に来て、買いませんでした。

ハーディらしいというか、暗いです。「運命」に翻弄されすぎる連続は好き嫌いが分かれるところですね。

映画は、今月に入ってからは『ロードオブザリング2』ぐらいです。あとは今まで手を出していなかった『シャーロック・ホームズの冒険』の映像版を見始めたぐらいです。『ヴィクトリア朝』ながら、なぜ今まで話題に出さなかったのか、理由があります。

確か高校生ぐらいの頃にNHKで放送していたのですが、ホームズが物を散らかしたり、挙動がおかしかったり、人当たりが悪いので、好きではなかったのです。同じ頃に『名探偵ポワロ』がやっていて、あっちの方が好きだった、というのもあります。

今、こうして見直していると、セットも衣装もすごいのですが、ホームズの仕草の端々に、「Mr.ビーン」を感じてしまいます。また日本語吹き替えは名優・広川さんでしたが、字幕にして英語で聞くと、声が余計にとげとげしく、やや偏狭な感じの印象が強くあり、楽しむのには時間がかかりそうです。


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