[参考資料]世紀末までの大英帝国

世紀末までの大英帝国―近代イギリス社会生活史素描 (叢書・現代の社会科学)

著者/訳者:長島 伸一

出版社:法政大学出版局( 1987-04 )

単行本 ( 290 ページ )


『大英帝国~最盛期のイギリスの社会史』をもう少し研究書よりにしたのが本書です。『大英帝国』が新書ということで多くの方に向けられて書かれたのと異なり、本書は研究書として踏み込んだ内容になっており、ヴィクトリア朝の大英帝国が成立するまでのプロセスとして、18世紀の産業革命や囲い込み、対外戦争などを詳しく扱って、「歴史の流れ」が見えてる内容になっています。

ヴィクトリア朝社会全体を包括的に扱い、新書では載せられなかったと思える図表や資料、年表などが盛りだくさんで、数字として社会状況を把握できる構成になっています。階級別収入一覧、職業別の人口比、当時の一週間のメニューなど数字から浮かび上がる実態や、「ここにこんな資料があるんだ」というリファレンスとしても使用できます。丁寧なつくりの本で値段もこの種類の本としては高価ではなく、損の無い一冊です。

本書単体で利用するよりも、本書を補完的に使ったり、本書で紹介された資料の原点を探すなどの工夫をすることで、より多くの知識を得られる足掛かりともなります。個人的には18世紀以前が弱いので、19世紀へ至るプロセスが非常に分かりやすかったです。

ただ本書が書かれた時代が1987年、今から23年前になることから、文中の歴史的事象を巡る解釈は最新ではない可能性があります。その点で、他の書籍との比較や考察を行った方が多面的に考察を深められると思います。、