制作日記


2002/10/26(日)

すさまじく、お久しぶりです。8月のコミケ参加以降、今までは「残業ゼロ」な感じの仕事進行で問題ない日々でしたが、7〜8月から現在まで、半年程度のプロジェクトのメインの役割になってしまったので非常に忙しくなりました。

とても創作をしている時間は取れませんでした。とはいえ時間の使い方に無駄が多く、今回も申し込みした以上は無理をしてでも仕上げると、冬用の原稿に取り掛かりました。とりあえず上下巻を諦め、薄くても、作ろうと決めました。だいたい20〜40ページの間に収まると思います。

ストーリーのアウトラインは決っていますが、使用人関係の暮らしや立場の資料は英書が中心なので、その分、読むのに時間がかかり、また「どこに何があったっけ」という煩雑さもあり、「多くをメモしながら読めばよかった」と、後悔しています。

この日記らしいものを書き始めてから、あまり進歩が無いのですが、明日はキャラクターイラストのお願いも書かないとなりません。こうした状況で唯一嬉しかったのが、前から欲しくて欲しくてしょうがなかった本が、絶版から復刻しました!!

『イギリスの田園生活誌』という図版入りの素晴らしい資料がありますが、その後ろの広告に載っていた『イギリス手づくりの生活誌〜伝統ある道具と暮らし』という本です。タイトルから想像できるように、イギリスの伝統的、今使っている道具の始まりの頃の本ということで、それは起源とも言える、『ヴィクトリア朝』を当然、含んでいます。

さらに読んでみると、「主婦業の見直し」を提起しており、つまりそれは「家事使用人」が大勢いた頃(必要だった時代)を振り返ることにつながり、「道具と生活の視点=使用人など家事に従事する人の視点」なので、A級の参考文献、間違いないはずです。

ランドリーメイドで出てきた数多くの道具たちもしっかり絵が載っており、過去にうんざりさせられたことも、理解しやすくなっていると思います。俄然、やる気が出ています。

著者が自給自足の第一人者の人であるだけに、文章にかなり癖があって、所々に主観が濃縮に混ぜられており、なかなか素直には飲み下せませんが、イラストも多く、エピソードも面白く(煙突掃除のエピソードは秀逸です)、楽しみながら読んでいます。

ヴィクトリア関係の映画は最近、ほとんど見ていません。かろうじて『山猫』(イタリア貴族の暮らし、変革の時代の貴族の生き方)を見たぐらいです。未消化の資料がいっぱいあるので本当は買わなくてもいいのですが、病気が始まり、どのヴィクトリア時代の本でも出てくる『ミセスビートンの家政読本』(英書)も通販しました。

通販ついでにDVDコーナーを見ていたら、『マクロス』の新作が出るそうですね。河森さんの作品は設定は面白くても、個人でやると無かったことにしたい『マクロス7』、壊れ始めた『エスカフローネ』とシナリオ的に破綻しているというか、好きではないので、せいぜいレンタルで済ませますが、他の『マクロス』のシナリオがいいということもないのが、『マクロス』がガンダムになれないところでしょうか。

富田祐弘という人がメインの脚本家でしたが、小学館から出ている小説版もあれですし、メカと美樹本デザインとミサイル、(マクロスプラスは音楽も)が自分の好きな『マクロス』なんでしょうね。ミンメイの歌も好きですし、ロボットでは『アーマードバルキリー』のミサイル発射、『マクロスU』では声優の笠原弘子演じるイシュタルに、心を持っていかれました。

なんの話をしようかというと、そのDVDをアマゾンで見たとき、関連商品で『フラッシュバック』が出ていたのです。これも籠に入れました。『マクロス』をリアルタイムで見ていたとはいえ、子供の情報網は無いに等しく、そのビデオの存在を知ったのは大学生の頃です。(劇場版エンディングのミンメイのコンサートがそのビデオから?)

学生当時はビデオが高く、手が出ませんでしたが、今になってようやく、「存在を知っていて見られなかった作品」が見られるのもまた、喜びです。とはいえ、実際のところ、製造していないようで、買えませんでしたが。

同じではないのですが、ドストエフスキーの『悪霊』は、「読もうと思っていて読まなかった」作品でした。これを先日に買って、読みました。話自体は思ったほど面白くなかったのですが、「作者が掲載を断られた最後の章」で、ドストエフスキーにまたしてもやられました…

この人の好きな作品には「心に残る1シーン」が存在して、自分にとってそれは『罪と罰』の、ラスコーリニコフが最後にソーニャに心を許すシーン、『虐げられた人々』のネリィが発作的に主人公に気持ちを打ち明けるシーン、或いは『カラマーゾフの兄弟』の次男が三男のアリョーシャに語る「絶望的な小説」だったりと、いろいろありますが、今回も「この作家の実体験か?」と思えるほど、痛々しい描写がありました。

少し最初に書いた「絶版」と重なりますが、ドストエフスキーの五大長編とされる『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』では、未読の一冊、『未成年』が文庫本では絶版です。全集では載っていると思いますが、これもまた古本屋などで見つけられたらいいなぁと、或いは再版されたらいいなぁと思う作品ですが、原作はかなり伏線や登場人物の設定は破綻(筆者が混乱)しており、小説としての『未完成』品らしく、それ故の絶版と思われ、全集ですかねぇ…


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