制作日記


2002/01/10(木)

今日で『レ・ミゼラブル』も終了です。刑事ジャベールも自殺し、ジャン・バルジャンも死にました。ふたりの死は、映像美で彩られています。計算されているとわかっていても泣く人間なのですが、今回も泣きました…最後に銀の燭台の蝋燭へ火を灯し、その火が消える朝を迎える描写は、美しい光景でした。

背景や衣装や雰囲気が良質で、いい映画でした。当時の街並みが残り、また屋敷なども残ればこそ、あれだけ豪奢な屋敷などが再現できるのでしょう。今日になって貴族の家が出てきて、ようやく執事やメイドさんなどが姿を見せましたが、今回は話に引き込まれて、注意があまり向きませんでした。フランスにとっては、『時代劇』なのでしょうね。

違った方面への創作意欲がわいてきましたので、とりあえずしばらくはヴィクトリアは読書だけになりそうですが、これだけではなんなので、最近届いた資料の紹介をします。

ヴィクトリア時代をモデルとする小説(ジョアン君の話)を書こうとした際、どういうところにいて、何に囲まれているかが気になります。メイドさんにしても、どんな道具を使っていたのか、そんなところへの関心から、道具関係の話を扱ったという『イギリスの生活誌』(原書房:絶版)を捜していたのですが見つかりません。

いろいろと捜して、似たような本と思えた『ヴィクトリア朝のデザインU 家庭用品編』(千毯社)を入手しました。ところがこの本、日本語のタイトルのくせに、中身は「英語」(本のカバーだけが日本製)でした。

「そんなのありかい!」

中身も品物への解説がほとんどなく、少し失敗したとも思いましたが、品数&掲載数が非常に豊富で、部屋に飾る装飾品から、食器、家具(トイレやお風呂、洗濯機)、旅行鞄や馬車まで載っており、イメージを膨らませるいい材料になりそうで、意外な拾い物かもしれません。どうやら当時の通販広告の図版を使用しているみたいです。


2002/01/09(水)

昨日の分もちゃんと書いたのですが、UPし忘れました。

今日も『レ・ミゼラブル』が放映されていました。明日で終了の模様ですが、ヒロインの人たちが着ている衣装は本当にいいですね。動きにくさや制限があり、活動範囲を狭める為のものとは知りながらも、あの優雅な円のラインは尋常ではなく心に響きます。女優さんが素晴らしく美しい!というわけではないのですが、衣装とあわさると、ため息ばかりです。

昨日書きました『鹿賀』似の男ですが、あれが「ジョン・マルコビッチ」でした。今日は丸坊主で少ししか似ていませんでしたが、フランスでは有名な俳優さんばかりのようです。主演の『ジャン・バルジャン(友人曰く、パン泥棒)』役の人は、この他にも『モンテ・クリスト伯爵』、最近では予告編が面白そうだった(失望率もまた高いのですが)『ヴィドック』にも出演しているそうです。

『ヴィドック』はゴシックホラー+サイコスリラーみたいな感じで、噛み合わないと最悪の展開なのですが、とりあえずあれも時代背景が良さそうなので、見に行くつもりです。

映画の話題が増えてきましたが、また何か、いい題材の映画があったらご紹介します。


2002/01/08(火)

仕事が昨日から始まり、新年会もありました…それでも亀の進みではありますが、読書を続けています。今はようやくFootmanの仕事が読み終わり、次のライフスタイルへ移動しました。一度目はわからない単語を飛ばしての読書でいいやと思っていますが、文学作品と違い、読み落としたり、複雑な言い回しが無いので理解できている…といいなぁと…

さて、今日はNHKBS2で『レ・ミゼラヴル』を見ました。第四話構成の第二回ということですが、俳優さん(女性陣)が『ポワロ』と比較してはいけないほど、若く、美しい人たちばかりで驚きました。時代的にもフランス革命やナポレオン後ぐらいと思ったので、服装や街の雰囲気もだいたいにおいて、『ヴィクトリア朝』の参考になるでしょう。

ヒロインの女の子の衣装もシルクの華やかさが綺麗ですし、若い弁護士を目指す青年(俳優が骸骨に似ていて…少し?ですが)の服装も、時代がかっていい感じです。修道院での制服が、青いワンピースに白いエプロンや襟と、ややメイドさん服っぽかったのが、なかなかに印象的ですね。

『マルコビッチの穴』の俳優さんがいたり、あの自殺する執念的な刑事役の人がやけに鹿賀丈史に似ていたりと、男優人も個性的ですし、後半部分で昔、主人公の正体を『犯罪者』と悟り、強請ろうとした人間が、数年後に主人公と再会するシーンは嫌なぐらい緊迫感があり、原作を読みたくなりました。

『耳に残るは君の歌声』(?)という、最近の映画があります。これに出演する『クリスティーナ・リッチ』と『ジョニー・デップ』は、ティム・バートン監督の『スリーピー・ホロウ』で競演しています。この『スリーピー・ホロウ』は1800年初頭のアメリカが舞台で、衣装が美しく、クリスティーナ・リッチもため息が出るほど綺麗でした。あの時代の衣装は動きにくそうですが、優婉で、いいですね。


2002/01/06(日)

正月は遊びに方々へ出かけ、久々の更新です。

今年一年、頑張ろうと思います。

コミケも無事終了しました。河原屋さんには感謝しております。知り合いのつてで置かせていただいたのですが、コミケ当日に訪問した際、知り合いの方がおらず、また店員さんの格好がゴシックロリータ(黒いピンクハウス? メイドさんぽいです)の為、「あれ? あっているのかな? 話すのは照れてしまう…(弱気)」と通り過ぎました。しかし、逃げるわけにもいかず、くるっと一度回ってから意を決してお話しました。

コスプレしている人と話したこともなく、知り合いの知り合いということで緊張し、あまり話せませんでしたのが心残りですが、この後、知り合いにも会えて、よかったです。今年は自分でお店を出したいですね!

さて次回作への道程ですが、amazonへ注文した資料も一冊を除いてすべて揃い、消化にかかる時間が増えました。とりあえず一旦、文章系資料の話はさておき、久々に映像系の話でもしましょう。

私が好きな作品のひとつにBBC制作『名探偵ポワロ』があります。英国の優雅な貴族的雰囲気に関心を持たせたのは間違いなく、この作品です。高校時代にこの映像を見て、以来、高校ではクリスティの作品をほとんど制覇しました。

映像では『ホームズ』よりも『クリスティ』の方が好きだったので、ヴィクトリア朝を題材とする『ホームズ』を重視していないのはもったいない話ですが…ポワロさんの面白い顔と、ヘイスティングス大尉(声優は富山敬さんの死去により、安原義人さんです。特攻野郎Aチームのクレイジーモンキーからフェイスになったことを思うと、胸中複雑です)の魅力が捨てがたいです。

当時は当然、メイドさんや使用人に関心などありませんでしたが、そうした視点で見ると、実にいろいろなメイドさんが出てきます。時代背景が第一次大戦後のはずなので微妙にヴィクトリア朝と違うのですが、お金持ちの小間使いとして、また宿泊するホテルのメイドとして、服装も様々に登場する雰囲気はいいですね。

また『ポワロ』では食卓のシーンが非常に重要な意味を持つ場合が多く、随所に挿入されています。実際に貴族の屋敷で料理を食べた経験のない私からすれば、参考になる描写ばかりです。

食堂の暗さ、席順、食卓の上の蝋燭、会話の雰囲気、使用人が給仕を行なうタイミング。

今回は、『メソポタミア殺人事件』と『白昼の悪魔』の放送でしたが、『白昼の悪魔』では宿泊したホテルにメイドさんが登場しました。『メソポタミア〜』の方でも食事シーンがありましたが、これは現地のアラビアンな髭青年が給仕しており、やや微妙な雰囲気でした(笑)

さて、コミケ関連でもうひとつ、話がありました。委託の件ですが大量の申込があったという話は本当ですが、受け入れ枠も大量だったようです。最大1200枠に対して、応募総数がなんど1278、つまり落選する方が難しい倍率だったのです。

運がないですね〜

とはいえ、原因は書類不備(書留同封ミス)のせいでしょう。勿体無い話です……純粋に本だけで見てもらえる機会だけに、今年も夏は一般申込と、委託申込をします。サークルカットが委託カタログに載せてもらえているだけに、情けない話ですね。


2001/12/29(土)

『The Country House Servant』を読み始めました。読書環境を得ようと近所のファミレスへ赴き、ドリンクバーで紅茶を楽しみ、雰囲気を出しながら。

とはいえ辞書を持っていかなかったので所々でつっかえ、一時間半の読書で20ページ、INTRODUCTIONからthe Footman's Workへ入れたところです。

ピンポイントな本を作るだけあって、INTRODUCTIONは「なぜこの本を作ったのか?」「如何なる角度で制作に当たったか?」など、14ページ、割かれています。それは私がなぜ洋書を買うに至ったかという経緯と重なる部分が多く、だからこそ余計に嬉しいものでした。

他人がくれるものを消費することに満足していれば、創作意欲はわきません。そこで足りないと思えばこそ、その足りない部分を補うものを作ります。筆者は今までの研究では足りない部分がある、また「使用人の伝えられる姿が部分的でしかない」と述べます。

「使用人の職」を伝えるのではなく、タイトルにふさわしい「カントリーハウスで働く使用人とその社会」を書くと、そこに存在した職業に関わった「物質・技術・技能」を後世に伝えるべきと、こういう立場です。

「カントリーハウスで働いた使用人」のうち、「Footman」「HousemMaid」「LaundryMaid」の三職種を、独自の視点で定義、研究対象にします。それはこの三職種が、他の使用人と別の形態、筆者の考える「物・技術・技能」を持つからです。

筆者が扱わないと言及した「Maid of AllWork(すべての仕事をさせられる家庭内女中:少人数の使用人しか雇えない階級が雇用、一般に抑圧されたメイドのイメージは彼女達を典型とする)」「OddMan(雑役夫、男版Allwork)」「kitchen staff(これは別に本があるので扱っていないだけです)」ですが、前の二つは筆者の伝えたい「物・技術・技能」と離れたものと考えます。

こうした職は「水を汲んで」「皿を洗って」「床を掃除して」となんでもやります。物を巧く成し遂げられるかは、経験や実績に裏打ちされます。

「熟練した水の汲み方」があるでしょうか?
あったとして、「巧いね」と雇い主は誉めてくれるでしょうか?
「巧い水の運び方」を教えてくれる先輩はいるでしょうか?

依頼主はひとつの結果を求めるだけです。過程で水をこぼさなくなっても、短時間でできるようになっても当たり前で、評価されません。「雑用」のスキルが向上して効率UPや時間短縮が起きても、求められる仕事の結果は同じまま、だからこそ、そこに筆者の注目する「体系的技術」は無い、と思えます。

カントリーハウスという、同一職種の人間が集団が勤務する形は、会社に似ています。「熟練した技術を必要とする」場合も、「技術」が根本に存在し、それを個人が身につける環境が整っています。先輩が「技術を非熟練者に伝えて」くれます。また集団で動く以上、システム化が進み、マネージメントの面でも効率化が考えられます。

この3つが選ばれたのは「大規模なルーチンワーク」、もしくは「目に見える範囲でのサービス職」=技術向上は好評価に繋がりえる為ではないでしょうか。

最初に私が買いました『The Victorian Domestic Servant』の同シリーズで、「LaundryMaid」のみを扱った本を筆者は出しています。本を買う段階でも本の存在を知っていましたが、なぜ洗濯部分がそれだけ扱われるのか理解できず、買いませんでした。

今日、洗濯とは「技術が必要」「多くの人間が関わる会社的な仕事」で、「他のカントリーハウス内の仕事からも独立したひとつの世界」を構成していると知り、単体で扱うだけの分量があるのだと知りました。

信じられないほど、カントリーハウス内の洗濯部屋は広く、また多くの人間を必要としています。HousemaidやFootmanは特殊な技術が求められる「専門職」です。仕事はサービス、主人の目に触れるので、技術の発展がさらなる好待遇の就業を可能にする、そうした技術の連続性も期待できる、そういう職業と考えます。

筆者は過去を調べるにあたり、注意すべき資料の分類を書いています。こうした視点で接した方がいいよという、自戒の意味もあるでしょう。

1:日記(当時そのままが書かれているようで、その日のこと、印象に強いこと、書きたいことが書かれていることが多いので、すべてとは思わないこと。技術については書き込みが少ない)

2:自伝(その職業に長くあり、引退した人のものなので、当時を振り返り、全体的に述べるので参考になり、また技術についても書き込みが多い)

3:当時の職業マニュアル(典型的類型的すぎ、雇用者の欲しい人材・理想とする形が多く、現実の姿ではない場合もあるが、技術に関して言えば詳細に載っている)

4:雇い主の言葉(ほとんどが被雇用者への不満ばかりであるが、どういうことを求めていたのかがわかる)

概ねこんなところでしょうが、それこそ同人誌に書くべき内容になってくると思いますので、ネタばらしも程ほどにします。こうして整理して書くことが理解に繋がるので、その為の日記ですが……明日明後日と年末は更新も出来ないので、これにて本年は失礼します。


2001/12/28(金)

会社の大掃除も忘年会も終えて帰宅すると、待望の書籍が2冊、届きました。両方とも何気に同じ出版社で、ハードカバーの作りは泣けるほど美しいです。『The Country House Servant』の方は表紙が素晴らしく、目次を見る限り、期待した成果が得られそうです。

一方、『Life Below Stairs』はなんとそのタイトルの後に、よく読んでいなかったのですが、「in the 20th century」と書いてあります。ヴィクトリア朝は1901年までなのに、1900年以降の使用人の本を買っていたわけです、はい。

とはいえ、こちらは意外と男性使用人の資料が多く、時代が異なるとはいえ、元々がヴィクトリア時代からの継続のはずですし、イメージの部分で学ぶ箇所が多そうです。とりあえず『The Country House Servant』から読み始めます。

明日はコミケに行こうと思いましたが、折角読みたいものが届いたので、こちらに時間を費やします。

以下、『The Country House Servant』の目次です。

1:the Footman's Work
2:the Footman's Lifestyle
3:the Housemaid and her Work
4:the Use of Linen
5:Early Processes of Washing
6:the Material Culture of Laundring
7:Laundry Management
8:the Meanings of Cleaning
9:Examplesof Butler's Pantries,Housemaid's Closets and Laundries

こういう本が、欲しかったのです!
読めるといいなぁと願いながら、高校時代を思い出して、読書にいそしみます。洗濯には関心があったので、ここまで追求してくれると嬉しいですね。感想文を書けるぐらいには読めるように、頑張ります。


2001/12/27(木)

ようやく待望の一冊、その名も『The Country House Servant』を入手できます! 本日、amazonより配送した旨が伝えられました。お歳暮ならぬ年末のこの時期に届く品ではありますが、1〜3日でつくというので、明日か明後日には読みたいです。

表紙が、素晴らしくいいです!(写真確認)

これだけでイメージは膨らみますが、そうこう書いているうちに、『Life Below Stairs』(階段下の暮らし:ハリー・ポッター…は嘘で、要するに召使達は地下に押し込められていたので、そういう言い方にしている本です)も届きそうです。

明日は会社の忘年会、明後日からは冬コミに行く予定なので、読めるのは先です。並んでまで欲しいものが無いので冬コミは午後出勤ですが…委託を引きうけていただいた河原屋さんには感謝しております。

こうして制作日記を作りましたのも、翻訳で学んだものを公開しようという心がけからです。著作権の問題で訳は載せませんが、どこにどう言う情報があるかを参考程度に示し、また自分にとっても備忘録になればなぁと、そんな感じです。

広々とした奥行き、表現されないものの確固とした世界観など、築けるといいなぁと、本も届いていないのに幸せになれる自分です…

生活へ視点を向ければ向けるほど、今読んでいる『ローマ人の物語]』の塩野七生さんの偉大さがわかります。今回の十巻は小説と言えないものですが、それでもどうやって小説世界を築いてきたか、或いはこれからも築いて行くのかを確かめる為の、土台作りです。

以前、別の本で述べていましたが、ささやかな生活の研究をしてくれる人が有りがたいと、何を食べていたのかに関心を持つ研究者を塩野さんは誉めていました。自分自身、生活誌のようなものを今調べる身として、そうした本を、読みたくて仕方がありませんし、存在しているものについては感謝感激雨あられです。

少し逸れますが、「ドストエフスキー」の描く時代のロシア、そこでの生活誌に非常に関心があります。今のところ本を見つけられていません。生活描写や食べ物、そして持参金が飛び交う上流社会、偽者の貴族など、魅力的な要素が一杯なのですが…これもまたいずれ同人誌なり、ホームページにてまとめたいですね。

イメージ重視の人間故に雪が降る世界は大好きです。私本人は鼻水が止まらず、寒さに弱いのですが、ずっと雪が降る世界でのファンタジーなんかも書いてみたいです。ヴィクトリア朝も好きですが、ドストエフスキーの時代も雰囲気的に捨てがたい魅力を持っています。

まだ何も作っていない、夢みたいな話ばかりですが、目標があるのはいいことだと、作りたいものがあるうちは幸せだなぁと思いつつ、いずれ出来あがるであろうオリジナルの為の土壌を耕しています。自分が作れなくても、耕しておいた土地に誰かが種をまいてもいいとは思うので、こんなことを書き連ねている次第です。

物語を書くより、解説や整理の方が向いていると言いますか…
そういう自覚はあるのですが(苦笑)


2001/12/26(水)

今、『ローマ人の物語]』を読んでいますが、水のある風景を書きたいですね。ジョアン君のいる領地は実在しないので想像するしかないのですが、個人的に水が豊富で清涼感のある光景が好きなので、ローマ的に公爵一族には治水をしてもらいます。

ダーバヴィル公爵領は世界遺産『モン・サン・ミシェル』+『バース』をイメージしています。公爵家は近代海軍の祖であり、海外交易で巨万の富を築いていますので海沿い、海軍の大学校なんかもあります。夏はここで過ごします。

一方、王より長年の勲功によって下賜されたネザーフィールド領は、保養地のイメージをさらに強くしています。温泉がある、暖かで広々とした水の綺麗な地方を思い描いています。見渡す限りの平原や丘がすべて自分の所領なんて、庶民である自分には想像も出来ませんが…

最近の刺激物といえば、映画『ハリー・ポッター』ですね。登場した屋敷内の装飾と外観にただただ感動しましたし、あの商店街の造詣も、異世界ならではのこだわりがあり、大好きです。小説部分でああいう描写を真似たいものです。

他に、レンタルした『ハムナプトラ2』ではカントリーハウスのような建物が出てきて、ライブラリーも充実していましたが、なぜそこで『アクションシーン』(銃撃沢山)…哀しくて涙が出そうでした。『インディー・ジョーンズ』や、『アラビアのロレンス』といった、「ヨーロッパ文化人と遊牧民族と砂漠と遺跡」の雰囲気はいいですね。『ハムナプトラ』もその系譜を継承している…と思ってみていますが、どうにもこうにも。

屋敷物ではDVD『秘密の花園』があります。メイドさんもいますし、意地悪なハウスキーパー(ハリー・ポッターにも出演のマギー・スミス)もいますし、建物も使用人ホールもなかなかに秀逸で、いい作品です。屋敷内の階段だと思っていたものが実は昔の駅の階段、食堂も某大学の教室だったと知ったときは驚きましたが、あちこちでコラージュしているようですね。2000円と、下手な資料本よりもはるかに安く、お買い得です。

『ハリー・ポッター』主役の少年が演じた、ディケンズの『デビット・カッパーフィールド』もDVD化されるとのことです。以前からディケンズの作品に興味があったので、見るつもりです。

BBCシリーズはセットで本物の屋敷を使うので、かなりオススメです。日本でBBCのクラシックドラマシリーズはIVCで販売されています。


2001/12/25(火)

次回作は使用人と貴族階級との関わり方を書きたいなぁと思っています。今の本は貴族の屋敷を書いたので、そのなかで働く人たちを書こうというわけです。

ところがメイドさんや女性使用人に関する資料はそれなりにあるのですが、どうも男性使用人(非執事職)は影が薄く、今ひとつはっきりしません。当時は男性使用人を雇うと、「贅沢税」とでも言うべき税金が科せられ、それ故に女性使用人が進出したのですが、それでも男性の資料は、少ないです。

また、「女性使用人」といっても、「貴族の屋敷で働く」人の話よりも、使用人をひとり〜数人しか雇っていない中流家庭の家に働きに出た人の方が充実していて、例えば貴族屋敷内での使用人社会の細かい部分でのインスピレーションが湧きません。

知らないものは書けません。

そこで考えました。

日本の有名な資料本の後ろに載っている、英語の本を読もうと。

辞書を片手にどうにかというレベルですが、これを機会に勉強しようと思い立ちました。それに今まで散々、そうした関係の日本の本を読んでいたので、概ね流れはわかります。

「victoria」や「Servant」をキーワードに、「amazon.co.jp」で検索をかけ、ピンポイントそうな書籍をピックアップし、本の参考文献になっているものを集め始めました。取り寄せが多く、まだ一冊しか手元に来ていませんが、読む時間を考えると、これぐらいのペースでいいのかもしれません。

この「amazon.co.jp」は通販で有名な「amazon.com」の日本支社ですが、サービスの質は非常に高いです。国内の送料は無料で、カード決済せずに済みます。代金引換手数料で250円取られるのですが、それでもカード情報をさらしたくない人にはありがたいです。また登録時にカード情報が必要ないので、支払った後にカード情報を消すことも出来ます。

今のところ、在庫が国内にあった一冊だけ、届きました。薄さの割に写真と絵が多く、なかなかいい感じです。『The Victorian Domestic Servant(ヴィクトリア朝の家庭内の使用人)』(Trevor May著作)は32ページ中綴じと薄い本ですが、キッチンや、当時の写真など、いろいろあります。

洋書で最も期待しているのがその名も『Country House Servant』と『Country House Kitchen』です。これこそ、貴族の屋敷で働く使用人、そして料理人が働く厨房を専門的に扱った本に違いない!との推測の元に、注文した本です。

こうした洋書を読んで、解説部分と小説部分が膨らめばなぁと、願っております。

■創作メモ■
思いつくままに書いています。

何の本で読んだか忘れましたが、どうやら執事やハウスキーパー等の上級職は、主人階級から「姓」で呼ばれる権利を持つようです。小説では思い切り、ファーストネームで呼んでいます。まぁ親しさを見せているというか、そういう感じなのでしょう。

あと、もうひとつ、主人の部屋の傍にすぐ従者が控えていないと不便かなぁと思って、レカミエの部屋はジョアン君の部屋のすぐ傍にしてありますが、多くの場合、使用人を呼び出す「ベル」があったようで、主人は必要になったらすぐ呼び出せるみたいです。

『秘密の花園』でも、『いつか晴れた日に』でも、そうした『ベル』が出ていました。しかもこのベル、幾つも連鎖するようになっていて、なかなか鳴り止まないようにできていたそうです。


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